何か、約束があれば寂しくない。またすぐ会えると思える。次が楽しみになる。
「でも、片付けなんかなくったって、会いに来るよ」
「けど、理由があった方が来やすいでしょ?」
「理由なんかなくったって、ヒナタくんに会いたいから会いに来るよー」
「え」
『――葵に会いたいの。会いたくないの。それだけが理由で会いに行けるのは、君だけじゃないの』
……あれ。なんか……。
「……ヒナタくん?」
「あ。ごめん何?」
「ぼうっとしてるから」
「してたというか、腑に落ちたというか」
「どういうこと?」
「なんか、無駄に肩に力が入ってたみたいオレ」
「……? そうなの?」
「そうそう」
シントさんに言われた時はまだ、その言葉を自分の中で消化し切れていない部分があった。でも彼女にそう言われて、ストン……って。心の中に落ちてきても、普通に落ち着いていられる。
あおいの言葉だから。もしかしたら、それも理由としてはあるのかもしれない。シントさんには悪いけど。
「じゃあ、オレも会いに行っていい?」
「もちろんっ」
「だったら、今日はこのまま花咲に泊まりに行こうかな」
「……ヒナタくん」
「何? あ、用事にもついて行くよ。暇だし」
「君今日学校なの、わかってて言ってる?」
「大丈夫大丈夫。一日休んだくらいどうってこと」
「ダメです」
「行ったとしても多分遅刻だし」
「頑張れば間に合うから」
「えー」
「行きなさい」
もしかしたら、彼女の隣に立っていられる自信が、ついたのかもしれないなって。そうだったらいいなって。思えた。
「じゃあ何したい? あとちょっとしかないけど」
「だから、片付けだってば。ヒナタくんは支度。ほら急いで」
おかしいな。おかんを彼女にした覚えはなかったんだけど。
でも、ちょうどいい機会かもしれない。
そんな風に自覚してすぐだけど。大人じゃないけど、オレもあいつも、何も考えてない子どもじゃないし。
「ふうーっ。何とか間に合いそうだね! 忘れ物はない? ハンカチとティッシュ持った?」
「あおいさん」
「授業中は居眠り厳禁だからね? そう言ったところでヒナタくんには何にも響かないんだろうけどさー」
「一緒に暮らしませんか」



