「今日は凱歌を揚げたから、その報酬をね? ちょっくら、……あれ?」
(誰だろ、こいつに勝負挑まれた人。かわいそうに……)
「んーしょ。よいしょーっ」
「ん?」
「はあ。それをね? 教えてあげようと思うんだけど……」
「どしたの」
よじ登ってきたかと思ったら、こてんと肩に頭を乗せてくる。そして何故か、彼女はもじもじし始めた。
「別に、今すぐじゃなくていいよ。一気にもらうのなんかもったいないし」
「えっ! わたしは、今言っておきたい……」
「そう?」
「でも……」
「だからどうしたの」
「……あの」
「玄関の紙袋。その中に入ってるの」と、彼女は部屋の扉を指差している。
「でも……ちょっと、その。う、動けなくて」
「……」
「も、持ってきてくれませんか?」
「いいよ。喜んで」
恥ずかしげに身を捩る彼女の頭をそっと引き寄せ、唇を寄せる。
「無理させたね」
「だ、大丈夫だ」
「本当?」
「……ちょっと痛むくらい」
「動けないくらい痛いんじゃなくて?」
「というより腰が抜けて」
「……」
「起きるので精一杯……」
「抜かしてごめんね?」
「い、……いいから持ってきてくださいよ」
何故か小声で始まったそんな遣り取りに二人クスッと笑い合う。
ぽんぽんと彼女の頭をそっと撫でてから、手近にあった服に袖を通す。
「……あんまじろじろ見ないでくんない?」
「はっ! ごめん、つい」
「つい? 何?」
「やだやだやだ。見ないで聞かないでー」
両手で顔を隠したところで、耳も、首まで真っ赤なのはバレバレなんだけど。
「何考えてたのエッチ」
「うわっと! ひ、ヒナタくん……?」
そんな彼女を抱き抱えて部屋を出る。さすがにすっぽんぽんはオレと一緒で恥ずかしかったのか、手近にあった服で慌てて胸元は隠されたけれど。
「あのままあそこにいたら、ずっと抱き続ける自信があったので」
「!?」
「あーごほん。……ということなので、座るの大丈夫そうなら下に降りよ。つらかったらリビングのソファーに寝てていいし。あとここじゃ何もできないし」
「……うん。ありがと」
「でもその前に風呂。一緒に入ろ」
「あは。うんっ」
嬉しそうに抱き付いてきた彼女が、もうあまりにも可愛くて。浴室内で我慢はきっと切れるだろう。
心の中でそっと謝って、彼女の柔らかい体を抱き締め返した。



