すべての花へそして君へ③


 包装された箱を開けると、そこから出てきたのはレザーのキーケース。ちょうどいいって、そういうこと。


「これは、クリスマスプレゼント。遅くなっちゃったけど」

「え?」

「わたし……あの、ほら! 熱出してとち狂ってたから」

「と、とち狂ってはなかったと思うけど」

「そ、それに。……わたしばっかり、もらってるから」

「そんなこと」

「あるの」

「……そっか」


 オレが、したいからやっていると。そう言ったところで納得しないのが彼女のいいところでもある。


「クリスマス。……わたしは、すごく素敵なもの、もらったから」

「……ねえ、聞かないの?」


 堂々とつけられなかったのは、あの頃はまだ、自分が彼女に相応しいと思えなかったから。
 何をしたって、オレは彼女には及ばない。どうしたって、オレは彼女の足枷にしかならない。こんなこと考えてたら駄目だと。考えてること自体おかしいと。一旦距離を置いて、二人がどうするべきか考えた方がいいんじゃないかと。

 ……覚悟が足りていなかったんだ、あの頃は。


「ん? 何を?」

「なんで隠してたのかって」


 でも今まだつけられていないのは、オレの中である決め事をしていたからだけど。


「……隠してたの?」

「え?」

「だって普通に持ってるし。つけてるし。肌身離さず」

「え。……いや、これは」

「それに、わたし何回も見てたよ? ヒナタくんが家の鍵使うとこ」

「……」

「全然気が付かなかったよ~。これぞ、灯台下暗し」

「……バカだね、ほんと」


 バカだ何だと言われても、嬉しそうに笑っている彼女は、やっぱりおバカなんだろう。そんな彼女に、何度救われてきたことか。
 オレは、もらったキーケースと彼女と同じ場所についたリングを握り締め、感謝を噛み締めた。


「ふっふっふ」

「何その意味深な笑い。スルーしていい?」

「しないで! 泣くよ!?」

「ハイハイ。それで? どうしたの」


 何やら企んでいるらしい彼女は、にやにやと笑いながら俯せになり頬杖を突く。


「これで終わりとお思いか?」

「何が?」

「お・も・て・な・し、サプラ~イズ」

「え? まだ何かあるの」


 これ以上に、一体何が用意されているのか。何か、ちょっと怖い気もするんだけど。
 だって、誰が用意してると思ってんの? あのあおいだよ。