包装された箱を開けると、そこから出てきたのはレザーのキーケース。ちょうどいいって、そういうこと。
「これは、クリスマスプレゼント。遅くなっちゃったけど」
「え?」
「わたし……あの、ほら! 熱出してとち狂ってたから」
「と、とち狂ってはなかったと思うけど」
「そ、それに。……わたしばっかり、もらってるから」
「そんなこと」
「あるの」
「……そっか」
オレが、したいからやっていると。そう言ったところで納得しないのが彼女のいいところでもある。
「クリスマス。……わたしは、すごく素敵なもの、もらったから」
「……ねえ、聞かないの?」
堂々とつけられなかったのは、あの頃はまだ、自分が彼女に相応しいと思えなかったから。
何をしたって、オレは彼女には及ばない。どうしたって、オレは彼女の足枷にしかならない。こんなこと考えてたら駄目だと。考えてること自体おかしいと。一旦距離を置いて、二人がどうするべきか考えた方がいいんじゃないかと。
……覚悟が足りていなかったんだ、あの頃は。
「ん? 何を?」
「なんで隠してたのかって」
でも今まだつけられていないのは、オレの中である決め事をしていたからだけど。
「……隠してたの?」
「え?」
「だって普通に持ってるし。つけてるし。肌身離さず」
「え。……いや、これは」
「それに、わたし何回も見てたよ? ヒナタくんが家の鍵使うとこ」
「……」
「全然気が付かなかったよ~。これぞ、灯台下暗し」
「……バカだね、ほんと」
バカだ何だと言われても、嬉しそうに笑っている彼女は、やっぱりおバカなんだろう。そんな彼女に、何度救われてきたことか。
オレは、もらったキーケースと彼女と同じ場所についたリングを握り締め、感謝を噛み締めた。
「ふっふっふ」
「何その意味深な笑い。スルーしていい?」
「しないで! 泣くよ!?」
「ハイハイ。それで? どうしたの」
何やら企んでいるらしい彼女は、にやにやと笑いながら俯せになり頬杖を突く。
「これで終わりとお思いか?」
「何が?」
「お・も・て・な・し、サプラ~イズ」
「え? まだ何かあるの」
これ以上に、一体何が用意されているのか。何か、ちょっと怖い気もするんだけど。
だって、誰が用意してると思ってんの? あのあおいだよ。



