「んで、その結果この部屋の有様というわけです。めでたしめでたし」
「ふーん。そっか」
「いやいやヒナタくん。めでたくないよね? この部屋の惨状、朝起きても酷いの変わってないんだよ?」
「そうだね。言ってくれればこんなことにはならなかったね」
「言わないよー。だって、サプライズなお持て成ししたかったんだもん」
「そうだったね」
でも、じゃああおいはやっぱり、オレが隠してた理由のこと……。
「でもヒナタくん。わたし、君に一言言いたい」
ほら。やっぱり来た。
思わず身構えたオレは、彼女の視線から逃げようとしたけれど。「こーら。逸らさない」って膨れっ面で手の甲を軽く抓ってくるので、やむを得なく降参することにした。
「ごめん。何? どうせオレが隠してたから怒って」
「もうちょっと大事に扱ってくれまいか」
「……え?」
「だ・か・ら! 指輪! 指輪だよ? 指輪というものはもうちょっと丁寧に取り扱うものでないかい……?」
「いや、だってこれ安物だし」
「やっぱりわたし思ったよ。桜生は金銭感覚もれなくおかしいって」
「これのどこが安物なんじゃい! プンスコ!」とお怒りモードの彼女は、この日本で一番と言っていいほどのお嬢様だ。そのお嬢様の金銭感覚が一般庶民以下……というのは何というか。世の中平和な証拠だろう。うん。
「ちょっと。今失礼なこと思ってない?」
「オモッテナイオモッテナイ」
けど、大事にだ丁寧にだと言われても、アクセサリーということは変わりないわけで。
「けど、キーホルダーのリングの一部みたいにしてるのはどうかと思うの」
「一周回ってお洒落じゃない?」
「まさかと思って、見つけた時は驚愕しましたけどお……?」
「ごめんごめん」
恨めしそうに見上げてくる彼女の視線から、思わず距離をとる。物理的にはとれないので、こう……気持ち的に。
「でも、ちょうどよかったのかも」
ふっと敵意を緩めてくれた彼女は、いつの間にそんなところに仕込んでいたのか。枕の下を弄り始めた。
「はいこれ」
「何これ」
「開けて見るべし」
「わかったわかった」



