すべての花へそして君へ③


「んで、その結果この部屋の有様というわけです。めでたしめでたし」

「ふーん。そっか」

「いやいやヒナタくん。めでたくないよね? この部屋の惨状、朝起きても酷いの変わってないんだよ?」

「そうだね。言ってくれればこんなことにはならなかったね」

「言わないよー。だって、サプライズなお持て成ししたかったんだもん」

「そうだったね」


 でも、じゃああおいはやっぱり、オレが隠してた理由のこと……。


「でもヒナタくん。わたし、君に一言言いたい」


 ほら。やっぱり来た。
 思わず身構えたオレは、彼女の視線から逃げようとしたけれど。「こーら。逸らさない」って膨れっ面で手の甲を軽く抓ってくるので、やむを得なく降参することにした。


「ごめん。何? どうせオレが隠してたから怒って」

「もうちょっと大事に扱ってくれまいか」

「……え?」

「だ・か・ら! 指輪! 指輪だよ? 指輪というものはもうちょっと丁寧に取り扱うものでないかい……?」

「いや、だってこれ安物だし」

「やっぱりわたし思ったよ。桜生は金銭感覚もれなくおかしいって」


「これのどこが安物なんじゃい! プンスコ!」とお怒りモードの彼女は、この日本で一番と言っていいほどのお嬢様だ。そのお嬢様の金銭感覚が一般庶民以下……というのは何というか。世の中平和な証拠だろう。うん。


「ちょっと。今失礼なこと思ってない?」

「オモッテナイオモッテナイ」


 けど、大事にだ丁寧にだと言われても、アクセサリーということは変わりないわけで。


「けど、キーホルダーのリングの一部みたいにしてるのはどうかと思うの」

「一周回ってお洒落じゃない?」

「まさかと思って、見つけた時は驚愕しましたけどお……?」

「ごめんごめん」


 恨めしそうに見上げてくる彼女の視線から、思わず距離をとる。物理的にはとれないので、こう……気持ち的に。


「でも、ちょうどよかったのかも」


 ふっと敵意を緩めてくれた彼女は、いつの間にそんなところに仕込んでいたのか。枕の下を弄り始めた。


「はいこれ」

「何これ」

「開けて見るべし」

「わかったわかった」