(……ん?)
その際に、首元からするりと何かが落ちる。ゆらゆらと揺れるそれは、ネックレスだろう。
(こんなものいつ付けて、……っ!)
けれど、そのトップについているものを久し振りに見たオレは、思わずキスを中断させてしまった。
「……これ。え、なん……で」
「それなの」
「え……?」
「それだったんだ。探し物」
どうしてあおいが、“これ”の存在を知っているのか。
「……嫌だった?」
「い、嫌なわけ! ……っ、いやな、わけ……」
存在を知っているということは、それをオレが隠していたのも、もちろん知っているわけで。その理由にも、きっと気付いているんだろう。
「わたしからヒナタくんへ。元々はヒナタくんのものだけど」
「……」
それは、あおいがつけているものより少し大きめの。まあ、所謂ペアリングというやつ。あおいのプレゼントと一緒に買ったもの。
体を起こしあおいの上から退けると、彼女は慌てた様子でオレの腕を掴む。別に逃げたりしないのに。そんな顔、してんのかな。
そんな風に思っているとは知らない彼女は、矢継ぎ早に言葉を続けた。
「ほ、本当はね? わたしが、ちゃんとプレゼントしたかったんだよ? でもヒナタくん、持ってるんだもんっ」
「ちょっとごめん。どういうこと?」
てっきりオレは、何らかの形でこの存在を知った彼女が、隠している理由を突き止めたくて探していたとばかり思っていたけれど。
「……あのね? わたし、ヒナタくんとお揃いのものが欲しかったの」
『――素敵な彼女さんとお揃いにされる方も多いですよ』
『(……お揃い、か。あんまキャラじゃないんだけどな……)』
「それで、どこのお店のなのかなって。ちょっと調べてみて……」
『お客様? 差し出がましいようですが、もし少しでもいいなとお思いでしたら、ご購入された方がよろしいかと』
『え? ……なんでですか?』
「このリング、元々ペアで売られてるものなんだなって。……知ったらもう、何がなんでも見つけてやろうって」
『きっと、お客様と同じことを、彼女様もお考えですから』
『…………』
『それに、……もうかれこれ一時間ショーケースとにらめっこされてますよ?』
『えっ。嘘……じゃ、ない』
『絶対に喜んでいただけると思います。大丈夫、保証します』
『あ。ありがとう、ございます』
……思い出した。
そうだよ。最初は、押売みたいなことかと思ったけど、そんな風に背中を押してもらえたんだ。オレだって、こいつとお揃いのもの一つくらい、持っていたかったから。



