正直、何されても怒らないと言い切れるくらいには、あんた限定で盲目的だと思ってるけど。……え。ほんと、何したんだろこの人。黙ってないで何か言って。
「……よかれと、思って」
「ならいいんじゃない?」
「うん。それは、そうなんだけど……」
何ともまあ歯切れの悪い。こんな彼女も珍しいっちゃ珍しいけれど、いつまでも付き合ってたら多分朝が来る。
決断したオレは、あおいを完全無視し、思い切ってその扉を開けることにした。
「……」
あまりの惨状に言葉は出ず。ゆっくりと振り返った先にいた彼女は、「ジーザス……」とこぼしながら両手で顔を隠し、オレの視線から逃れようとしていた。
「あおいちゃんや」
「お、怒らないって、言ったもん。聞いたもんっ」
「怒らないから、ちょっとこっちを見ようか」
「!? や、やだやだやだ……!」
手首を掴んで顔から引き剥がそうとするけれど……馬鹿力め。全然外れないし。くそっ。
「ほんと、怒ってないよ?」
「嘘だ」
「いや本当に。ただ、どうしてここまでになったか理由が知りたい」
この跡形もなくなってしまったオレの元の部屋は、一体どこに行ったんですか。どうやったらここまでグチャグチャにできるんですか、あおいさん。
(ま、流石と言うべきかどうなのか。何か壊れてるとか、そういう風なのは無さそうだけど)
足の踏み場も無くなってしまった自分の部屋を、少しずつ進んでいく。
「ひとまず座ろ」
ベッドの上に置いてあった物を少し下ろして、座れる場所を確保する。ていうか何これ。懐かしいものいっぱい広げてあるんだけど。どんだけ引っ繰り返したのあなた。
「……ぜんぶ」
「ぜ、全部? 押し入れん中も?」
「うん……」
「……屋根裏も?」
静かに頷いた彼女に、ごめんけどちょっと頭を抱えさせてもらった。そんなところまで引っ繰り返されたとは。
それでもあなたまだオレのこと好きでいられるのね。脱帽ものだよ。
「は、はじめはここまでじゃなかったんだよ?」
「うん。どうしてこうなったんだろうね」
「男の子の部屋は、勝手に見ちゃいけないものがいっぱいあるからいろいろ気を付けて……ベ、ベッドの下とかは絶対、覗いちゃダメだから」
「疚しいものは何もないけど(そっち方面で言えば)」
「部屋は綺麗なまま探そうとしてたんだけど、なかなか見つからなくて……」
(そういえば、何探してたんだろ)
「時間がもう無くなってきたから……わたしがいない間に、その」
「ん? あんたがやったんじゃない?」



