すべての花へそして君へ③


〈ひとんちで何してるの〉

《えーっと
 お持て成し!
 の準備?》

〈おもてなし?〉

《そうそう!
 お・も・て・な・し
 (●-人-)オモテナシ》


 いつも以上にテンション高いな。けどそういうことなら、張り切ってくれているなら、なるべく邪魔はしたくない。〈了解 準備終わったら教えて〉と最後に送って、玄関前の石段に腰を下ろした。


「ヒナタくんヒナタくん!」


 すると、上から声が。振り返って見上げると、二階の部屋の窓から愛しい彼女が顔を出していた。


「中! 中入って待ってて!」

「え? 入っていいの?」

「もちろんっ!」


「リビング暖かくしてるから、そこで待ってて!」と、彼女は嬉しそうに手を振って窓を閉めた。……ハタキ持ってたけど、あんなの家にあったっけ。
 でもまあ、招待した彼女が言うんだ。遠慮無く入らせてもらおう。外マジで極寒だし。


「はあー。あったけー」


 別段どこか特別変わった様子もなく。家の中がちゃんと冬使用になっているぐらいで、最後に出た時とほぼ一緒だ。
 ただ、今まで出してなかったコタツがリビングに置いてあって、本当に至福。コタツに俯せになっていると、ふわっと背中に何かが掛けられる。視界に入ったのはブランケットの角。


「……あお」

「ヒナタくんご飯は?」

「……え?」

「だから、ご飯。夕ご飯食べてきた?」


 やっぱり目がどっかおかしいのかな。見上げたそこにいたのは、割烹着に帽子、マスクをしっかり着用した、給食のおばちゃんだった。手には相変わらずハタキ持ってるけど。


「た、食べた。ごめん」

「え? なんで謝るの?」

「な、何となく……」

「あはっ。おかしなヒナタくん」


 誰がどう見たって、明かおかしいのはあんたの方だけど。
 思ってても口には出さない。顔には全面的に出しておくけど。気付くかどうかはさておき。


「おなかいっぱい食べた? おつまみくらいなら食べられそう?」

「うん、大丈夫……だけど」

「そっか。うん了解」