すべての花へそして君へ③

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 その日、最後のインターホンが鳴ったのは、夜の7時を少し過ぎた頃だった。


「あら? 誰かしら」

「あ、ごめん。オレだ」


 連絡が入ったスマホを握り締め、思わず席を立つ。こんな時間に、何かあったんだろうか。


「出てきても大丈夫?」

「行ってきなさい」


 みんなも同じことを思ったんだろう。食事中だったけれど、ありがとうと慌てて玄関へと駆けていった。


「どうしたのチカ」


 ていうか、来るんなら帰る時にでも言っといてくれればよかったのに。連絡来たの、インターホンが鳴ってからだったけど。


「悪いな。あー飯食ってた?」

「チカも食べる?」


「いや、オレは今から帰ってばあちゃんと食うから」と、どうやら下校で別れてから買い物が長引いたらしい。


「用事はすぐ済むから」


 いや、別れてから何かあったらしい。
 そう言って、彼が出してきたブツに、オレは思わず目を擦った。


┏     ┓

   果
   た
   し
   状

┗     ┛


「諦めの悪い……」

「オレからじゃねえよ」

「は? じゃあ誰からって言うの」

「お前の女房」

「……まっ、まだ女房とか。気が早いし」

「おいおいおい、ガチで照れてんじゃねえ」


 気を取り直した▼
 話を聞くところによると、チカはお使いに来ただけだそうだ。あいつに、頼まれ事をされたらしいけれど。


「じゃあな」

「どいつもこいつも」

「は?」

「いっつもいっつも、なんでオレより先に会ってるわけ」


 しかも買い物袋の中。チョコの箱がチラチラ見えるんだけど。誰からもらったんだよ誰から。


「オレに聞くなよ」

「わかってるよ」

「まあアレだ。特別だからだろ、お前が」

「わかってるよ」


「わかってんのかよ」と。おかしそうに笑うチカから、謎の果たし状を受け取って、オレは一つ溜め息を落とした。


「帰ってきてんだね、この町に」

「みたいだな。駅で買い物してたぞ、何か」

「買い物? また、何しに……」

「ま、いろいろ準備があるらしいから――」