勢いよく抱き付いてきた娘たちは、よくよく見たら俺の気付かない間にこんなにも大きくなっていたらしい。
……可笑しいな。別に、ずっと帰ってきてなかったわけじゃないのに。
「ぱぱなんさいー?」
「ととなんさいになったー?」
「ん? ……25歳かな」
「「にじゅうごー!!」」
いつの間にか。君と出会ってこんなにも時が経っていたなんて。
「おめでとうパパ」
「ねえママ」
「何?」
「もう一人つくる?」
「つくらない」
「えー。しーだって、妹か弟欲しいよね?」
「ん? えーっと。えとねー」
「ねね! おねえちゃんかおにいちゃんがいい!」
「「それは無理だわ」」
もしかして葵ちゃんは、今日のことを知っていたのだろうか。……彼女のことだ。きっとそうだろう。じゃなきゃ、俺の気付かないところで、テーブルの上に橙色のリボンが結ばれたチョコの箱と通達書なんて、置いてないだろうから。
「……ママに報告」
「何? また減俸されたの?」
「昇進、しちゃった。……多分?」
「ふふ。おめでとう、パパ」
ありがとう葵ちゃん。今日は、きっと今までで一番、いい日だ。
❀ ❀ ❀
「よいせっと。ありゃ、いろいろ揃えてたら遅くなっちゃった」
でもまあ、あれと、これと、それも買えたし。チョコレートも、ほとんど配り終わったし。配達終了のメールも、無事に受け取ったよってみんなからのメールも続々届いてるし。
「あとは、帰りにチカくんの家に寄――」
「呼んだか?」
「うわあっ!」
「!? い、いきなり叫ぶなよ。ビックリするだろ……」
「そ、そっくりそのままお返しするよ……」
「……は?」
噂をすれば影とは言うけれど。流石に、タイミングよすぎとちゃいますか……?
「普通に買い物だっつの」
「ま、そうですよね」
「そう言うお前は? お前こそなんでこの駅で買い物なんて……」
「ん? ああ、これはちょっとね。今から準備をしようと思って」
何かを察した彼は、ふーんと一つ頷いて、「手伝う?」と多分一応聞いておくだけ聞いておくかと、そんな軽い気持ちで言ったんだと思う。
――けど、今回ばかりは言ったが最後。
「いいの!?」
「え」
「ありがとう! お願いします!」
「……あ、ああ(えー)」
今は正直、猫の手も借りたいのだ。チカくんだけに。



