✿
魔王は呟いた▼
「……ほんと、すぐ痛いところ突いてくるんだもんな」
魔王は獲物に逃げられた▼
「桐生くん? 何か言った?」
勇者が現れた▼
「うるさい」
「(聞いただけなのに……!?)」
「いいから、これ」
「……何? これ」
「チョコ」
「はあーっ! これまたものすごい量! まるで今日がバレンタインみたいな! 何? くれるの? ありがと」
「何言ってんの」
「はい?」
「バレンタイン今日だけど」
「…………あれ?」
勇者は、首を傾げた▼
魔王は、頭を抱えた▼
「それ、家まで運んどいて。何回も言うけど、家知ってるからってストーカーも泥棒もしないでよ。さっさと置いてさっさと帰って」
「わ、わかってるよ……!」
勇者は、魔王のパシリだった▼
「あ、ちょっと待って」
魔王は、紙袋の中から一つだけ取り出した▼
「これはいい。大事な子からもらったのだから」
魔王は、「じゃあ、あとよろしく」とわしゃわしゃ髪をぐちゃぐちゃにして、去って行った▼
「なんなの……」
勇者は、一人ぼやく▼
「王子様だと思ってたのに……」
まさか、こんな悪魔的性格だったとは▼
まさか、趣味が隠し撮りだったとは▼
しかも、同じ女の子オンリーとは▼
「なんで知ってしまったんだー! 知りたくなかったあ!」
「うるさい」
「へえっ!?」
背後に、魔王が立っていた▼
「き、桐生くんっ!? な、何かあった……?」
「明日午前中で講義終わりでしょ。俺明日は一日詰まってるから」
「あ、そっか。うん、わかった! じゃあ今度は明後日だね」
やったー! 明日はパシリから解放されるぞー!
勇者は、内心でスキップしながら喜んだ▼
「だから、前払い」
「え――んんっ!?」
勇者は、魔王に唇を奪われた▼
「ぷはっ!」
「いい加減慣れなよ。何回やってると思ってんの」
「慣……!? い、いきなりするからじゃない!」
「ああ申告制? じゃあ今度から気を付けとくよ」
唇を拭う魔王に、負けじと勇者もこれでもかと言うほど唇を擦り上げた▼
「わかってるだろうけど、約束守ってくださいね。言ったら、こいつと同じ目に遭わすから」
「こ、こいつとは……?」
勇者は、魔王の持っているスマホ画面を覗き込んだ▼
ついさっき、どこかで見たような……どこだっけ?
「俺の大事な子に手出したから、日本から排除した」
「ヒイッ……! だっ、誰にも桐生くんの変わった趣味は言いません……!!」
「そ? じゃ、それよろしく。また明後日ね、先輩」
「あ、アイアイサーッ!?」
勇者は、魔王の背中が見えるまでずっと敬礼をしていた▼
魔王は呟いた▼
「……ほんと、すぐ痛いところ突いてくるんだもんな」
魔王は獲物に逃げられた▼
「桐生くん? 何か言った?」
勇者が現れた▼
「うるさい」
「(聞いただけなのに……!?)」
「いいから、これ」
「……何? これ」
「チョコ」
「はあーっ! これまたものすごい量! まるで今日がバレンタインみたいな! 何? くれるの? ありがと」
「何言ってんの」
「はい?」
「バレンタイン今日だけど」
「…………あれ?」
勇者は、首を傾げた▼
魔王は、頭を抱えた▼
「それ、家まで運んどいて。何回も言うけど、家知ってるからってストーカーも泥棒もしないでよ。さっさと置いてさっさと帰って」
「わ、わかってるよ……!」
勇者は、魔王のパシリだった▼
「あ、ちょっと待って」
魔王は、紙袋の中から一つだけ取り出した▼
「これはいい。大事な子からもらったのだから」
魔王は、「じゃあ、あとよろしく」とわしゃわしゃ髪をぐちゃぐちゃにして、去って行った▼
「なんなの……」
勇者は、一人ぼやく▼
「王子様だと思ってたのに……」
まさか、こんな悪魔的性格だったとは▼
まさか、趣味が隠し撮りだったとは▼
しかも、同じ女の子オンリーとは▼
「なんで知ってしまったんだー! 知りたくなかったあ!」
「うるさい」
「へえっ!?」
背後に、魔王が立っていた▼
「き、桐生くんっ!? な、何かあった……?」
「明日午前中で講義終わりでしょ。俺明日は一日詰まってるから」
「あ、そっか。うん、わかった! じゃあ今度は明後日だね」
やったー! 明日はパシリから解放されるぞー!
勇者は、内心でスキップしながら喜んだ▼
「だから、前払い」
「え――んんっ!?」
勇者は、魔王に唇を奪われた▼
「ぷはっ!」
「いい加減慣れなよ。何回やってると思ってんの」
「慣……!? い、いきなりするからじゃない!」
「ああ申告制? じゃあ今度から気を付けとくよ」
唇を拭う魔王に、負けじと勇者もこれでもかと言うほど唇を擦り上げた▼
「わかってるだろうけど、約束守ってくださいね。言ったら、こいつと同じ目に遭わすから」
「こ、こいつとは……?」
勇者は、魔王の持っているスマホ画面を覗き込んだ▼
ついさっき、どこかで見たような……どこだっけ?
「俺の大事な子に手出したから、日本から排除した」
「ヒイッ……! だっ、誰にも桐生くんの変わった趣味は言いません……!!」
「そ? じゃ、それよろしく。また明後日ね、先輩」
「あ、アイアイサーッ!?」
勇者は、魔王の背中が見えるまでずっと敬礼をしていた▼



