「ん? おもちゃ」
「はい?」
「だから、おもちゃだよ。俺の」
「……」
知りたい。会いたい。お話ししてみたい。
史上最強の魔王様のおもちゃになるだなんて、一体どんな強者なのだろう、勇者なのだろう!
「あ。そろそろ行かないと」
「どんな人ですか!?」
「うわっと。……葵ちゃん、今までで一番食い付きがいいんじゃない? 妬いちゃうよ俺」
「女の人ですかっ?」
「……まあ」
「わあ!」
「(なんでそこで喜ぶんだろう)」
「それから? それから??」
「何を期待してるのか大体予想つくけど、葵ちゃんが思ってるようにはならないから」
「……思ってる?」
「だから、彼氏彼女とか」
「そんなのトーマさんにはもったいないです!」
「そんな返答が返ってくるとは、思わなかったんだけど」
「だってだって! その人すごくないですか!? わたし、その人とお友達になって、是非いろいろご教授願いたいです!」
「何をご教授願うの」
「主に魔王への耐性とか!」
「……」
「あとあと、エクソシストになるにはどうすればいいかとか!」
「葵ちゃん。おもちゃにエクソシストの素質はないと思うよ」
「え? あ、ほんとだ!」
いやあ、うっかりうっかり。ま、たまにはこんなこともあるもんさ。
……よっこいせっと。
椅子から降りて、一歩二歩三歩。バックします、ピーピーピーッ。
「葵ちゃん……?」
「ヒッ……!」
葵は、ボス――史上最強の魔王と遭遇した▼
「ちょっと、そこに座ろうか……」
魔王は、目から冷凍ビームを発射した▼
「あ、アルバイト! 行ってらっしゃいませえぇえー……!」
葵は、死に物狂いで逃げ出した▼



