すべての花へそして君へ③


「ん? おもちゃ」

「はい?」

「だから、おもちゃだよ。俺の」

「……」


 知りたい。会いたい。お話ししてみたい。
 史上最強の魔王様のおもちゃになるだなんて、一体どんな強者なのだろう、勇者なのだろう!


「あ。そろそろ行かないと」

「どんな人ですか!?」

「うわっと。……葵ちゃん、今までで一番食い付きがいいんじゃない? 妬いちゃうよ俺」

「女の人ですかっ?」

「……まあ」

「わあ!」

「(なんでそこで喜ぶんだろう)」

「それから? それから??」

「何を期待してるのか大体予想つくけど、葵ちゃんが思ってるようにはならないから」

「……思ってる?」

「だから、彼氏彼女とか」

「そんなのトーマさんにはもったいないです!」

「そんな返答が返ってくるとは、思わなかったんだけど」

「だってだって! その人すごくないですか!? わたし、その人とお友達になって、是非いろいろご教授願いたいです!」

「何をご教授願うの」

「主に魔王への耐性とか!」

「……」

「あとあと、エクソシストになるにはどうすればいいかとか!」

「葵ちゃん。おもちゃにエクソシストの素質はないと思うよ」

「え? あ、ほんとだ!」


 いやあ、うっかりうっかり。ま、たまにはこんなこともあるもんさ。

 ……よっこいせっと。
 椅子から降りて、一歩二歩三歩。バックします、ピーピーピーッ。


「葵ちゃん……?」

「ヒッ……!」


 葵は、ボス――史上最強の魔王と遭遇した▼


「ちょっと、そこに座ろうか……」


 魔王は、目から冷凍ビームを発射した▼


「あ、アルバイト! 行ってらっしゃいませえぇえー……!」


 葵は、死に物狂いで逃げ出した▼