「葵ちゃん、一体何したんや……」
「わたしは、わたしがしたいことをしたいようにやっただけです」
もし、それが誰も望んでいるものでなかったとしても。わたしには、もう一度見たい景色があったから。
「あおい、ちゃん……」
「勝手なことしてごめんなさい、マサキさん」
「いや、俺は……」
「橋渡しをするたびに、わたしもマサキさんと同じこと思ってたんですよ」
ずっと、モヤモヤしていた。こんなことしていて、いいんだろうかと。……こんなことしているだけで、本当にいいんだろうかと。
「グレーだからこそ、任されても大丈夫なお仕事ではありました。何の問題も、本当になかったんですよ」
だから――何の問題もないのなら、いいんじゃないかと思ったんだ。
「上には報告済みですし、了承も得てます。ある程度の仕事が片付けば、またいつでも会えるようになります」
「……なんでや」
「マサキさん……」
「じゃあなんで、絶縁なんて条件、最初に出してきたんや」
それは……。
「ここにもあるんじゃないですか? 似たような誓約が」
強い組織へ入るために設けられた、誰かのことを守るための約束事が。
「そんな簡単に反故にしてええんかいな、お偉いさんは」
「いいんじゃないですか? 守る必要がなくなったのなら」
多くの人を巻き込んだ大きな計画は、もう誰も脅かすことはないのだから。
「おっと、忘れるところでした」
親分にだけ渡しといて、アッシーにした目の前の人には何もなしとか、だいぶ失礼じゃないか。
「こ、こんなにぎょうさん……」
「多分組の人全員分あると思うんで、あとお願いしちゃってもいいですか?」
「(マジでバッチリ調べとるし。名前まで書いてあるやん)」
「あと、これはマサキさんの分です」
取り出したのは、二つの箱。一つは、橙色と紺色のリボンが結ばれたもの。……もう一つは。
「葵ちゃん、これはないわー」
「え? ダメでした?」
包装に、紅葉が描かれたもの。バッチリだと思ったのだけど。
「マサキさんには、特別に用意したんですよ」
「そんなん、これ見りゃ一目瞭然やけど」
「包装にもこだわりましたが、やっぱり大事なのは中身! そして愛情!」
「愛情言うたってなあ」



