すべての花へそして君へ③


「葵ちゃん、一体何したんや……」

「わたしは、わたしがしたいことをしたいようにやっただけです」


 もし、それが誰も望んでいるものでなかったとしても。わたしには、もう一度見たい景色があったから。


「あおい、ちゃん……」

「勝手なことしてごめんなさい、マサキさん」

「いや、俺は……」

「橋渡しをするたびに、わたしもマサキさんと同じこと思ってたんですよ」


 ずっと、モヤモヤしていた。こんなことしていて、いいんだろうかと。……こんなことしているだけで、本当にいいんだろうかと。


「グレーだからこそ、任されても大丈夫なお仕事ではありました。何の問題も、本当になかったんですよ」


 だから――何の問題もないのなら、いいんじゃないかと思ったんだ。


「上には報告済みですし、了承も得てます。ある程度の仕事が片付けば、またいつでも会えるようになります」

「……なんでや」

「マサキさん……」

「じゃあなんで、絶縁なんて条件、最初に出してきたんや」


 それは……。


「ここにもあるんじゃないですか? 似たような誓約が」


 強い組織へ入るために設けられた、誰かのことを守るための約束事が。


「そんな簡単に反故にしてええんかいな、お偉いさんは」

「いいんじゃないですか? 守る必要がなくなったのなら」


 多くの人を巻き込んだ大きな計画は、もう誰も脅かすことはないのだから。


「おっと、忘れるところでした」


 親分にだけ渡しといて、アッシーにした目の前の人には何もなしとか、だいぶ失礼じゃないか。


「こ、こんなにぎょうさん……」

「多分組の人全員分あると思うんで、あとお願いしちゃってもいいですか?」

「(マジでバッチリ調べとるし。名前まで書いてあるやん)」

「あと、これはマサキさんの分です」


 取り出したのは、二つの箱。一つは、橙色と紺色のリボンが結ばれたもの。……もう一つは。


「葵ちゃん、これはないわー」

「え? ダメでした?」


 包装に、紅葉が描かれたもの。バッチリだと思ったのだけど。


「マサキさんには、特別に用意したんですよ」

「そんなん、これ見りゃ一目瞭然やけど」

「包装にもこだわりましたが、やっぱり大事なのは中身! そして愛情!」

「愛情言うたってなあ」