そして運転席の方へとまわり、窓越しに伝える。
「けどねマサキさん、グレーなら何の問題もないと思いません?」
「……は?」
「それが、わたしの売りですから」
「……葵ちゃん」
それでも申し訳なさそうな彼に、思わず笑ってしまう。こんなにもお人好しな暴力団の人って、やっぱりここだけなんじゃないかな。
「仕事の関係で少し、五十嵐組について調べることがあったんですけど」
「どんな仕事やねん」
「暴力団っていうより、自警団っぽいですよね」
「いやいや、そりゃ言い過ぎやろ」
「まあ、悪いことしてないかと言われればちょっと悩むところではありますけど……」
わざとらしく腕を組み首を傾げる。ちらりとマサキさんの様子を見てみたら、真面目な顔でその続きの言葉を待っているようだった。
「でもそれは、あなたたちにはあなたたちなりの正義があるから」
「……せや」
「だからね? 似てるなーって思うんです」
「……」
「わたしやサラさんがいる場所は、どちらかというとそちら側寄りだから」
「葵ちゃん……」
落ち込んでいると思ってくれたのだろう。そんなことはないと、ぽんぽんと腕を叩かれる。
でも、実際はその逆だ。いや、ちょっとは残念に思っているけど。
「そろそろその橋渡しも、お役御免になるかもしれません」
「葵ちゃんが気にすることない。それでええんや。それが普通やから」
「だから、今度はお仕事無しに遊びに来ますね!」
「え? は? いやいや、気持ちは嬉しいんやけどな?」
「恐らくもう少ししたら、姐さん帰ってくるんじゃないかと思うので」
「は」
「ご帰還パーティーには是非是非呼んでくださいね! ではっ!」
返事も待たず。ぽかーんと口を開けた彼にクスクスと笑いながら、腕を広げてキイィーンッと駆け出――
プ――ッッ! プッップーッ!!
駆け出してすぐ、盛大にクラクションを鳴らす車に止められた。もうっ、一体何だと言うんだ。
「それを言いたいのはこっちの方や!」
「お、怒んないでくださいよ」
ほらほら。その辺歩いてる大学生が、怪しい目で見てるから。おっさんと女子高生が真っ昼間から何してるんだ……? って、不審に思ってるから。



