❀ ❀ ❀
オウリくんの分はお母様――カリンさんにお願いをして、レンくんは現在一人暮らし中なので、部屋に入って冷蔵庫に入れておいてあげた。ま、外は寒いし、今の気温なら全然常温でも大丈夫だろうけど。
《……え
ちょっと待ってくださいあおいさん
家に入った? 冷蔵庫に入れた?
何をかは大体想像つきましたよ?
ありがとうございます嬉しいです
けどどうやって家に入ったのかだけが
疑問に残るんですけど》
「〈企業秘密です〉……送信っと。これでよし」
やれやれ。結構配ったと思ったけどまだいっぱいあるなあ。一つになった紙袋には、まだいっぱいチョコレートが入っている。
《不法侵入で訴えますよ》
〈玄関横の窓が開いてたよ
閉めておいたから許しておくれ〉
「《ありがとうございます 気を付けます あと、チョコレートありがとうございました》ってか。君は玄関をどうやって閉めたのか気にならないのねえ」
結構テクニックがいるんだけどな。寧ろそっちをちょっと気にして欲しいんだけど。
〈どういたしまして★〉送信っと。……ま、いっか。
新たに渡した人にチェックマークを入れ、さあ次へいざ行こう! としたところで、盛大に着信音が鳴った。一歩出した足は静かに引っ込めた。
「……はーい。もしもしシント?」
『シン兄は現在口も聞けない状況』
「あ、アキラくん! こんにちは」
『うん。こんにちは葵』
「今日は? 何してるの?」
『今日は何もしてない』
「あれ? そうなの? わたしてっきりお仕事してるのかと」
『いや。今日は初め、学校に行って残った作業の続きとかリハに参加する予定だったんだ。でもよく考えたら、今日の学校ほど地獄な日はないと思って』
「あは。確かに」
『まあそれもあったけど、今日は予定を空けとけってシン兄が』
「……お仕事キャンセルになったの?」
『葵が来るからって』
「……」
『葵に会えるからって。葵からチョコもらえるからって』
「……」
『チョコ、無事に届いたから連絡した。ありがとうな』
「いえいえどういたしましてー」
チェック欄に二人分のチェックを入れていると、電話の向こうがうるさくなった。成る程成る程。郵便で届いたチョコに拗ねたシントが、わたしへ連絡をするようアキラくんに駄々を捏ねたと。大体の状況は掴めたぜ。
「アキラくんごめんね? いつもシントが迷惑をかけて」
『それを言うのはこちらの方だ。兄がいつも迷惑かけて悪い』
『何なの!? 二人して!』
アキラくんからかなり離れてるっぽいのに、大きな声だなあ。
『シント。アキ。来客だぞ』
『アポなしで? 楓が通したってことは、会わないといけない相手なんだな』
『ま、相手が相手だからな。つうか誰と電話してんだよ。さっさと切って準備しろ』
『ああ、わかった。そういうわけだから葵、チョコレートありがとうな。大事に食べる』
「アキラくんが甘いもので喜ばない」
『すごい喜んでるよ。甘さ控えめなのも嬉しい』
「そっか。ならよかった」
『ああ。それじゃあ……』
『おいシント! いつまで隅っこで拗ねてんだよ! いい加減支度しろ!』
『いやだ! もう今日はやる気出ない! 葵に会わないと仕事しない!』
『……兄が本当にすまない。気にしなくていいから』
「あはっ。うん、気にしてない」
『……? そうか。じゃあ、また学校で』
「うんっ。また――」
切れた電話に向かって、「またあとで」と、小さくこぼす。
はてさて。応接間の扉を開けて中にいるのがわたしだと知ったら、どれだけのやる気を出して、彼は仕事をするのだろうか。ちょっと楽しみだ。
オウリくんの分はお母様――カリンさんにお願いをして、レンくんは現在一人暮らし中なので、部屋に入って冷蔵庫に入れておいてあげた。ま、外は寒いし、今の気温なら全然常温でも大丈夫だろうけど。
《……え
ちょっと待ってくださいあおいさん
家に入った? 冷蔵庫に入れた?
何をかは大体想像つきましたよ?
ありがとうございます嬉しいです
けどどうやって家に入ったのかだけが
疑問に残るんですけど》
「〈企業秘密です〉……送信っと。これでよし」
やれやれ。結構配ったと思ったけどまだいっぱいあるなあ。一つになった紙袋には、まだいっぱいチョコレートが入っている。
《不法侵入で訴えますよ》
〈玄関横の窓が開いてたよ
閉めておいたから許しておくれ〉
「《ありがとうございます 気を付けます あと、チョコレートありがとうございました》ってか。君は玄関をどうやって閉めたのか気にならないのねえ」
結構テクニックがいるんだけどな。寧ろそっちをちょっと気にして欲しいんだけど。
〈どういたしまして★〉送信っと。……ま、いっか。
新たに渡した人にチェックマークを入れ、さあ次へいざ行こう! としたところで、盛大に着信音が鳴った。一歩出した足は静かに引っ込めた。
「……はーい。もしもしシント?」
『シン兄は現在口も聞けない状況』
「あ、アキラくん! こんにちは」
『うん。こんにちは葵』
「今日は? 何してるの?」
『今日は何もしてない』
「あれ? そうなの? わたしてっきりお仕事してるのかと」
『いや。今日は初め、学校に行って残った作業の続きとかリハに参加する予定だったんだ。でもよく考えたら、今日の学校ほど地獄な日はないと思って』
「あは。確かに」
『まあそれもあったけど、今日は予定を空けとけってシン兄が』
「……お仕事キャンセルになったの?」
『葵が来るからって』
「……」
『葵に会えるからって。葵からチョコもらえるからって』
「……」
『チョコ、無事に届いたから連絡した。ありがとうな』
「いえいえどういたしましてー」
チェック欄に二人分のチェックを入れていると、電話の向こうがうるさくなった。成る程成る程。郵便で届いたチョコに拗ねたシントが、わたしへ連絡をするようアキラくんに駄々を捏ねたと。大体の状況は掴めたぜ。
「アキラくんごめんね? いつもシントが迷惑をかけて」
『それを言うのはこちらの方だ。兄がいつも迷惑かけて悪い』
『何なの!? 二人して!』
アキラくんからかなり離れてるっぽいのに、大きな声だなあ。
『シント。アキ。来客だぞ』
『アポなしで? 楓が通したってことは、会わないといけない相手なんだな』
『ま、相手が相手だからな。つうか誰と電話してんだよ。さっさと切って準備しろ』
『ああ、わかった。そういうわけだから葵、チョコレートありがとうな。大事に食べる』
「アキラくんが甘いもので喜ばない」
『すごい喜んでるよ。甘さ控えめなのも嬉しい』
「そっか。ならよかった」
『ああ。それじゃあ……』
『おいシント! いつまで隅っこで拗ねてんだよ! いい加減支度しろ!』
『いやだ! もう今日はやる気出ない! 葵に会わないと仕事しない!』
『……兄が本当にすまない。気にしなくていいから』
「あはっ。うん、気にしてない」
『……? そうか。じゃあ、また学校で』
「うんっ。また――」
切れた電話に向かって、「またあとで」と、小さくこぼす。
はてさて。応接間の扉を開けて中にいるのがわたしだと知ったら、どれだけのやる気を出して、彼は仕事をするのだろうか。ちょっと楽しみだ。



