(なんであのこと知ってんだよ……!)
ゴーン、ゴーンと、除夜の鐘が鳴り響いていく。このまま、俺の煩悩も除去していってくれないだろうか。
「やっぱり何かあったんだ」
(そういやこいつ、なんで俺がこのワイン飲みてえって知って……)
ていうか俺のワインじゃねえのかな。がばがば飲んでるけどさ。
「一個聞きてえんだけどよ」
「ん? どうぞどうぞ」
「なんで俺が、酒飲みだって知ってんだよ」
「それはまあ、調べたからね」
「調べただあ? どうやって」
「それは……まあ、いろいろと」
「いろいろやって、わかるもんなのか」
「それはまあ、そのいろいろの度合いにもよるけど」
「……正直な話、どの辺まで知ってんだ」
「え? 何を……というか九条くん、ちょっと目が据わってない?」
「こちとら自棄酒が入ってんだよ。んで、どうなんだよ」
「……君のことを、でいいんだよね?」
確と頷くと、彼は一度考えるように顎に手を当てた。
そして一つ、大きくため息を落とす。
「聞かない方がいいと思うんだけどな」
「だったら一つ、俺が絶対他人に知られたくない秘密は」
「いやいやいや、秘密にしてるんならわかんないでしょ。まあ、強いて言うならだけど……」



