【ーENGLISH ROOMー】
多分、ここなんだろうな。「え? まさか保健室っていうオチじゃないよね?」とか思ったりもしたけど、それも一瞬。教室には暗幕が引かれている。明らかに怪しかった。
躊躇いながら、一度扉をノックする。二回目は、さっきより少し強めに。
「これだけフラグ立てといて、やっぱり保健室でしたーとかやめてよ……?」
「ヒナタくん? 入るよ!」と、声をかけ扉に手を掛ける。
一体、この中で何が待っているのだろう。彼は、一体何を準備していたのだろう。そもそも彼は本当にここにいるのだろうか。
ドキドキ、わくわく、そわそわ。
忙しなく動く心臓さんに手を添えながら、思い切り扉を開――…………ん?
ガチャガチャ。……ガチャガチャガチャ。
「んんーっ! んーッ!!!!」
何故開かぬ。……え? 違ったの? やっぱり保健室だったの!?
「わあー! ヒナタくん見つけるの得意とか自信満々で言ってたくせにーっ! 恥ずかしいー!」
「そうやって一人で叫んでる方が恥ずかしいと思うけど」
「だって! 扉が開かな……あれ? ヒナタくんだ」
「ごめんごめん、鍵かけたままだったの忘れてた」
叫んでくれてありがとうと。扉の中から出てきたヒナタくんは、ふっと優しい顔で笑う。
「太鼓判押しといてあげるよ。オレを見つけるのが得意だって。てかすごい恰好だね。そのTシャツを普通に着れる神経がすごい」
「……今から、何が始まるの?」
「え。何か始まると思ってんの」
「え? 始まらないの? これだけ期待させておいて??」
「どうなの? ねえ、どうなの?」と、詰め寄りながらの追求に、ふはっと彼は噴き出して笑った。
「期待してもらえていたようで何より」
そして嬉しそうに相好を崩した彼は、わたしの手をそっと引いた。
……ふわっと。やさしい陽だまりに包まれた感覚がする。
「ようこそ。オレのお姫様」
そこは、あの花畑だった。



