すべての花へそして君へ③


【ーENGLISH ROOMー】


 多分、ここなんだろうな。「え? まさか保健室っていうオチじゃないよね?」とか思ったりもしたけど、それも一瞬。教室には暗幕が引かれている。明らかに怪しかった。
 躊躇いながら、一度扉をノックする。二回目は、さっきより少し強めに。


「これだけフラグ立てといて、やっぱり保健室でしたーとかやめてよ……?」


「ヒナタくん? 入るよ!」と、声をかけ扉に手を掛ける。

 一体、この中で何が待っているのだろう。彼は、一体何を準備していたのだろう。そもそも彼は本当にここにいるのだろうか。

 ドキドキ、わくわく、そわそわ。
 忙しなく動く心臓さんに手を添えながら、思い切り扉を開――…………ん?


 ガチャガチャ。……ガチャガチャガチャ。


「んんーっ! んーッ!!!!」


 何故開かぬ。……え? 違ったの? やっぱり保健室だったの!?


「わあー! ヒナタくん見つけるの得意とか自信満々で言ってたくせにーっ! 恥ずかしいー!」

「そうやって一人で叫んでる方が恥ずかしいと思うけど」

「だって! 扉が開かな……あれ? ヒナタくんだ」

「ごめんごめん、鍵かけたままだったの忘れてた」


 叫んでくれてありがとうと。扉の中から出てきたヒナタくんは、ふっと優しい顔で笑う。


「太鼓判押しといてあげるよ。オレを見つけるのが得意だって。てかすごい恰好だね。そのTシャツを普通に着れる神経がすごい」

「……今から、何が始まるの?」

「え。何か始まると思ってんの」

「え? 始まらないの? これだけ期待させておいて??」


「どうなの? ねえ、どうなの?」と、詰め寄りながらの追求に、ふはっと彼は噴き出して笑った。


「期待してもらえていたようで何より」


 そして嬉しそうに相好を崩した彼は、わたしの手をそっと引いた。



 ……ふわっと。やさしい陽だまりに包まれた感覚がする。


「ようこそ。オレのお姫様」


 そこは、あの花畑だった。