❀ ❀ ❀
それから式は流れるように。
『この場所で、大切な仲間に出会えたこと――』
在校生代表、チカくんの送辞。
『一歩一歩、成長した誇りと、そして、支えてくれた先生方、家族、そして仲間たちへの感謝を胸に――』
そして、卒業生代表のアキラくんの答辞と、滞りなく進みに進み。
「……あれま。卒業しちゃった?」
「あっという間だったね」
カタンと椅子を引いて席に着く。教室に戻ってきた卒業生たちは、先生が来るまで各々駄弁っていた。
にしても……初体験ということもあったせいか。わあすごい! おお素敵! きゃあー! ……と、いろんなことに感動している間に卒業式は終わってしまった。
でも……おかしくはないか? 卒業式っていったら、もうちょっとお涙頂戴な展開を想像していたのに。何故だ。何故わたしはこんなにもけろっとしているんだ。
「あっちゃん、高校の卒業式なんてこんなもんよ」
「みんな、慣れに慣れてしまっていると」
「顔触れも変わらないしねえ」
「でも、だからこそ寂しく感じないの? わたしはわからないけど、長く一緒にいた分そういうのは積もるんじゃ」
「これで最後ってわけじゃなし」
「……え?」
「それに学校が学校だから。きっと、いやでもどこかで顔を見ることになると思うよー」
「……そっか。そうだよね」
んーでも、微妙にわたしの中で噛み合ってない気がするのは、なんでなんだろう。
「答えに不満そうな顔してるぞ?」
「ふ、不満というわけでは」
「そっか。じゃあ物足りない顔だ」
「も、物足りない……?」
そこまで話して、キク先生が欠伸をしながら気怠げに教室の中へと入ってくる。これもこれで、見納めだと思うとちょっと寂しいものだ。
ふと教室の後ろの扉を見ると、保護者の中にミズカさんとヒイノさんを発見。わたしを捜しているようだ。
おーい、娘はここですよー。……ん? え? なになに?
「だって、特別な人には余るくらいたくさんお祝いして欲しいじゃない?」
「キサちゃん……」
「それに、気を許せていないと、泣きたくったって泣けないもんなのよ、女は」
「女王様だと特に?」
「プライドが邪魔するんだよねー。あ、でもそれはあっちゃんだって一緒でしょ?」
「わたし? わたしは……」
それから式は流れるように。
『この場所で、大切な仲間に出会えたこと――』
在校生代表、チカくんの送辞。
『一歩一歩、成長した誇りと、そして、支えてくれた先生方、家族、そして仲間たちへの感謝を胸に――』
そして、卒業生代表のアキラくんの答辞と、滞りなく進みに進み。
「……あれま。卒業しちゃった?」
「あっという間だったね」
カタンと椅子を引いて席に着く。教室に戻ってきた卒業生たちは、先生が来るまで各々駄弁っていた。
にしても……初体験ということもあったせいか。わあすごい! おお素敵! きゃあー! ……と、いろんなことに感動している間に卒業式は終わってしまった。
でも……おかしくはないか? 卒業式っていったら、もうちょっとお涙頂戴な展開を想像していたのに。何故だ。何故わたしはこんなにもけろっとしているんだ。
「あっちゃん、高校の卒業式なんてこんなもんよ」
「みんな、慣れに慣れてしまっていると」
「顔触れも変わらないしねえ」
「でも、だからこそ寂しく感じないの? わたしはわからないけど、長く一緒にいた分そういうのは積もるんじゃ」
「これで最後ってわけじゃなし」
「……え?」
「それに学校が学校だから。きっと、いやでもどこかで顔を見ることになると思うよー」
「……そっか。そうだよね」
んーでも、微妙にわたしの中で噛み合ってない気がするのは、なんでなんだろう。
「答えに不満そうな顔してるぞ?」
「ふ、不満というわけでは」
「そっか。じゃあ物足りない顔だ」
「も、物足りない……?」
そこまで話して、キク先生が欠伸をしながら気怠げに教室の中へと入ってくる。これもこれで、見納めだと思うとちょっと寂しいものだ。
ふと教室の後ろの扉を見ると、保護者の中にミズカさんとヒイノさんを発見。わたしを捜しているようだ。
おーい、娘はここですよー。……ん? え? なになに?
「だって、特別な人には余るくらいたくさんお祝いして欲しいじゃない?」
「キサちゃん……」
「それに、気を許せていないと、泣きたくったって泣けないもんなのよ、女は」
「女王様だと特に?」
「プライドが邪魔するんだよねー。あ、でもそれはあっちゃんだって一緒でしょ?」
「わたし? わたしは……」



