唯一突っ込んでくれた祖父のおかげで、これが仕事着だということがバレ、わたしのその仕事内容について話が移ることになったけれど。
「僕もつい先程聞いたんですけど、聞きます? あおいさんが担当した数々の未解決事件の珍解答」
「それはとても興味深い」
わたしの代わりに、ヒナタくんがその役を担ってくれた。
嘘は吐かず、尾鰭も付けず。面白可笑しいところを掻い摘まんで。それはそれは、とても楽しそうに。
「でもそれだけではなくて、小さな子どもたちにいろんなことを教えていました。子どもたちはみんな楽しそうで、いつもそこには笑顔が溢れていて」
「……そうか」
「あおいさんは本当にすごいです。沢山のことができて、そしてそれが誰よりも勝っていて。少し変なところがあるのは否めないですが」
「ちょ、ちょっと。またそうやって上げてから落とす」
「けど、優しいんですよね、本当。少しぐらい驕っていてもいいくらいなのに、あおいさんにはそういったところが一つもありません。僕なんかよりもよっぽど謙虚ですし、いつまでも僕の憧れです」
「……! ひなた、くん」
――ドクンと、心臓が大きく鳴る。
「こんな僕で、本当に烏滸がましいのですが」
「ちょっと待ってくれヒナタくん。わたし、心の準備がまだ」
「そうか。流石、葵が選んだだけのことはある」
「「え?」」
「孫のこと、沢山見てくれて有難う」
「あ。……い、いえ」
(……あれ?)
なんか、思ってた展開とちょっと違うんですけど。
「またよければ話をしに来てくれ。息子の話には聞き飽きていたところだったんだ」
「はい、是非また伺わせていただきます」
わたしとしたことが、そんな突っ込みを入れられないまま話はいろいろ進みに進んで、そろそろお暇の時間に。
「またね、ひなたくん」
「いつでも気軽に来てくれていいからね」
「はい。カナタさんもクルミさんも、また」
ばっちりコートの前を閉めたわたしは、微笑ましいものを見るような目で手を振る彼らに首を傾げながらも取り敢えず、行ってきますと、一旦朝日向を後にした。
「ねえヒナタくん。付かぬ事をお伺いするのだけども」
「今日一日はその恰好だからね。拒否権なし」
「さっきさ、プロポーズしてくれようとしてたんだよね?」
「は?」



