❀ ❀ ❀
「それじゃあマザー、また!」
「短い間でしたがお世話になりました。また来ます」
「ふふっ。此方こそ、楽しい時間をありがとう。いつでもいらっしゃいね」
「あお! ひな兄ちゃん! 今度は俺が会いに行くねー!」
「「ばいばいシスター!」」
「「またね! お兄ちゃん!」」
外は寒い。それでも彼らは、わたしたちの姿が見えなくなるまでずっと手を振っていてくれた。
「ねえヒナタくん」
「ん?」
ここに来る前と後では、いろんなことが変わったね。
お互いが、どんな思いでいたのか。お互いがどんなことをしていたのか。ちゃんと知られたから、変わった。気持ちも。表情も。わたしたちの、綻びかけた関係も。
「あのー……ですね? これは、いつまでし続けなければいけないのでしょう」
ズルリとズレ落ちてくる大きな眼鏡をかけ直しながら、前が開かないようしっかりとコートを羽織る。
「寒い?」
「そりゃ寒いよ!? 中はカッターシャツにショートパンツ、あと蝶ネクタイ付けてるだけだからね!?」
せめてサスペンダーが出来上がっていれば……! って、絶対関係ないか。
「子どもたち喜んでたね。少女探偵だって」
「あーなんで選りに選って、仕事着をここに置いていたんだわたしー!」
「マザーもテンション上がって、インスタントカメラ引っ張り出してたし」
「わたしはいつになったらこの服を脱げるのだろうか」
「んー取り敢えず、建物の中に入ったらコート脱ごっか」
「……!?!?」
ひとまず、ものすごくお怒りだってことはよくわかった。
でも、こうしてやっぱりバカできるのは、わたしたちらしいなとも思う。帰ってきたなって、そう感じる。
「それから次はね」
「まだするの!?」
「誰も一つだなんて言ってないけど」
「た、確かにそうですけど」
何だろう、この久し振りな下僕感。悪魔だ。やっぱり悪魔だこの人。
「……こっから一番近いのは朝日向か」
「エ」
ちょ、ちょっと待って。今、とっても嫌な予感がしたんですけども。
「……あ、もしもしカナタさん?」
「ぬああああ!?!?」
「奇声? ああ多分最近飼い始めた犬だと思います。今ちょうど近くにいるので」
「ちょ、待っ、んんんー!」
「蝶ネクタイ付けてて主の言うことよく聞くいい子なんですよ。よかったら今から会いに行ってもかまいません?」
(やっぱりぃいいーッ!)
「それじゃあマザー、また!」
「短い間でしたがお世話になりました。また来ます」
「ふふっ。此方こそ、楽しい時間をありがとう。いつでもいらっしゃいね」
「あお! ひな兄ちゃん! 今度は俺が会いに行くねー!」
「「ばいばいシスター!」」
「「またね! お兄ちゃん!」」
外は寒い。それでも彼らは、わたしたちの姿が見えなくなるまでずっと手を振っていてくれた。
「ねえヒナタくん」
「ん?」
ここに来る前と後では、いろんなことが変わったね。
お互いが、どんな思いでいたのか。お互いがどんなことをしていたのか。ちゃんと知られたから、変わった。気持ちも。表情も。わたしたちの、綻びかけた関係も。
「あのー……ですね? これは、いつまでし続けなければいけないのでしょう」
ズルリとズレ落ちてくる大きな眼鏡をかけ直しながら、前が開かないようしっかりとコートを羽織る。
「寒い?」
「そりゃ寒いよ!? 中はカッターシャツにショートパンツ、あと蝶ネクタイ付けてるだけだからね!?」
せめてサスペンダーが出来上がっていれば……! って、絶対関係ないか。
「子どもたち喜んでたね。少女探偵だって」
「あーなんで選りに選って、仕事着をここに置いていたんだわたしー!」
「マザーもテンション上がって、インスタントカメラ引っ張り出してたし」
「わたしはいつになったらこの服を脱げるのだろうか」
「んー取り敢えず、建物の中に入ったらコート脱ごっか」
「……!?!?」
ひとまず、ものすごくお怒りだってことはよくわかった。
でも、こうしてやっぱりバカできるのは、わたしたちらしいなとも思う。帰ってきたなって、そう感じる。
「それから次はね」
「まだするの!?」
「誰も一つだなんて言ってないけど」
「た、確かにそうですけど」
何だろう、この久し振りな下僕感。悪魔だ。やっぱり悪魔だこの人。
「……こっから一番近いのは朝日向か」
「エ」
ちょ、ちょっと待って。今、とっても嫌な予感がしたんですけども。
「……あ、もしもしカナタさん?」
「ぬああああ!?!?」
「奇声? ああ多分最近飼い始めた犬だと思います。今ちょうど近くにいるので」
「ちょ、待っ、んんんー!」
「蝶ネクタイ付けてて主の言うことよく聞くいい子なんですよ。よかったら今から会いに行ってもかまいません?」
(やっぱりぃいいーッ!)



