❀ ❀ ❀
『子ども……ですか?』
わたしについて、ある程度の報告がいっているのなら、その答えがどうなるのか、目の前のこの人は訊かずともわかっていたはずだ。それを、改めて問うということは。
『それが、条件ということですか』
『似ても似つかぬがな』
『へ?』
『適任者というわけだ。お前が一番』
『単に人手不足というわけじゃ』
『無きにしも非ず』
ちょっとはあるんかいな。
けど、子どもに関する条件って、一体……。
『所謂、事後処理の延長線だ』
『え?』
『結論から言う。逃亡者を保護して欲しい』
『とっ、逃亡者の、保護……?』
『……』
『……もしかして』
彼は何も言わず、ただ瞳を閉じている。ということは、わたしの嫌な予感は、見事当たってしまったというわけだ。
何とも醜い謀略か。何とも腹立たしい異心か。
(……あれ? でも逃亡って……)
『熱くなっているところ悪いが』
『あ、はい』
『地下に残っていた者はほぼ、無事に保護している』
『ほぼ?』
『言っただろう。適任者だと』
『……と、言いますと』
わたしのこの問いは、どうやら地雷だったらしい。
『聞き取りした情報によると国内のみならず、どうやら国外にまで逃亡した阿呆がいるらしい。貴様のように狡賢い糞餓鬼どもがいるようだ』
『誰がくそガキですか……!』
完璧に当て付けである▼
こめかみに立った青筋が少し和らいだ頃、小さく続きが話された。
『そいつらの保護を。管理は他の者に任せている』
『そうは言いますけど』
『誰も、未成年一人に任すとは言っとらん。後で雨宮か東條を付ける予定だ』
『どうして、それをわたしに?』
『適任だからだ。よっぽど……』
『……? よっぽど?』
『どっかの強面のおっさんどもが行くよりは』
『……あは』
どうやら、何度か子どもに泣かれたらしい。その場面、ちょっと出会してみたかったかも。
『適任だろう。一人で何十もの教養が、お前にはできるのだから』
けれど、そうして笑っているのも束の間。そうして目の前の人は、少し意地の悪い顔をして言い放ったのだ。
『子ども……ですか?』
わたしについて、ある程度の報告がいっているのなら、その答えがどうなるのか、目の前のこの人は訊かずともわかっていたはずだ。それを、改めて問うということは。
『それが、条件ということですか』
『似ても似つかぬがな』
『へ?』
『適任者というわけだ。お前が一番』
『単に人手不足というわけじゃ』
『無きにしも非ず』
ちょっとはあるんかいな。
けど、子どもに関する条件って、一体……。
『所謂、事後処理の延長線だ』
『え?』
『結論から言う。逃亡者を保護して欲しい』
『とっ、逃亡者の、保護……?』
『……』
『……もしかして』
彼は何も言わず、ただ瞳を閉じている。ということは、わたしの嫌な予感は、見事当たってしまったというわけだ。
何とも醜い謀略か。何とも腹立たしい異心か。
(……あれ? でも逃亡って……)
『熱くなっているところ悪いが』
『あ、はい』
『地下に残っていた者はほぼ、無事に保護している』
『ほぼ?』
『言っただろう。適任者だと』
『……と、言いますと』
わたしのこの問いは、どうやら地雷だったらしい。
『聞き取りした情報によると国内のみならず、どうやら国外にまで逃亡した阿呆がいるらしい。貴様のように狡賢い糞餓鬼どもがいるようだ』
『誰がくそガキですか……!』
完璧に当て付けである▼
こめかみに立った青筋が少し和らいだ頃、小さく続きが話された。
『そいつらの保護を。管理は他の者に任せている』
『そうは言いますけど』
『誰も、未成年一人に任すとは言っとらん。後で雨宮か東條を付ける予定だ』
『どうして、それをわたしに?』
『適任だからだ。よっぽど……』
『……? よっぽど?』
『どっかの強面のおっさんどもが行くよりは』
『……あは』
どうやら、何度か子どもに泣かれたらしい。その場面、ちょっと出会してみたかったかも。
『適任だろう。一人で何十もの教養が、お前にはできるのだから』
けれど、そうして笑っているのも束の間。そうして目の前の人は、少し意地の悪い顔をして言い放ったのだ。



