「でも、ちょっと待って」
「ん? ほい。どうなすった」
初詣も無事終わり、次の目的地へと移動中。再び足を止めたヒナタくんは、理解に苦しんでいると言いたげに眉間に皺を寄せながら首を傾げていた。
「巫女さんをしてたのはわかった。けど、それが仕事? 前倒しするほどの?」
「違うよ。これはただのお手伝い」
「お手伝い……」
「あ、でもお給料戴いちゃったから、アルバイトになるのかな?」
「あのね、オレが聞きたいのはそういうことじゃ」
「わかってるわかってる」
納得できないような顔付きの頬にはひとつ。唇を寄せて。
「けどまだここじゃ話せないから、それについてはもうちょっとだけ待ってね?」
「わかってるけど……で? 次はどこ行くの」
「おもちゃ屋さん」
「……はい?」
「だから、おもちゃ屋さん」
「なんで」
「え? ……おもちゃがいるから?」
「……はあ。わかった、ついてくついてく」
か、会話を諦められてしまった。
おかしいな、間違ったこと言ってないのにっ。
「……ここがおもちゃ屋?」
「そうそう。知る人ぞ知る、ね」
町外れの小さな一軒家。そこは大手のおもちゃ屋とは違い個人経営で、職人さんと密な関係なのが売りだ。物もこだわりがあり質もいい。その分お値段が張っちゃうけど。
インターホンを押して中に入ると、そこに見知った顔がいたのでちょっとびっくりした。
「あれ、葵ちゃん。また会ったね」
「シズルさん、神社のお手伝いは」
「そっちはもう次の人に任せてきたよ。ここへはちょっとした寄り道でね」
「全く。体壊さないでくださいね。資本ですから」
振り返ってみたけど、ヒナタくんは彼の神出鬼没にどうやらもう慣れたらしい▼
呆れた顔して立っていた▼
「荷物、これだけ先に持って行っておくね」
「重いのにすみません」
「これだけの量運ぶのには男手がいるでしょ。気にしないで」
「ありがとう、シズルさん」
「どういたしまして。なんならさっきの減俸を無くしてくれてもいいん」
「さっさと運んでお帰りください」
「ごめんってば葵ちゃん。そうだ、よかったら今度家に遊びにおいでよ。うちの子にも会いたいでしょ? だから減俸を」
「それとこれとは話が別です」
「ですよねえー」
「ですが、前向きに検討しておきましょう」
「え! 減俸取り消し!?」
「お子ちゃまたちに会う方です」
「そ、そうですよねー……」



