そんな顔したヒナタくんの疑問は、きっとものの数秒後にさっさと解決した。
「すみませーん。御神籤くださーい」
「はいはーい……って、あれ?」
「こんにちはシズルさん。新年からご苦労様ですね」
「葵ちゃんと弟くん。こんなところまでいらっしゃい」
振り返ったら、ヒナタくんは頭を抱えていた▼
「そうなんだよー。折角葵ちゃんからお休みもらったのに、それならってボスがねえ~」
「それはそれはご愁傷様でした。お手伝いましょうか? 流石に今日みたいな日は、一人だと大変ですし」
「そう言ってもらえるのは有難いけど、大丈夫。もうすぐ人増えるらしいし、俺もそれまで要員だから」
「そうですか? なら、お言葉に甘えますね」
「甘えちゃって甘えちゃってー。ま、久し振りに葵ちゃんの巫女さんも見てみたいけどね」
もう一回振り返ったら、すごく頭が痛そうに蹲っていた▼
「……仲直り、できてよかったね葵ちゃん」
「はい!」
改めて説明しなくてもよさそうだったので、続けてちゃちゃっとシズルさんとお話しさせてもらって、御神籤を買うことに。
「あ、そうだ。ちょっとシズルさんに聞きたいことがあるんですけど」
「ん? あ、もしかして俺と縒りを戻そうって話? もちろん大歓迎だよ。相手が葵ちゃんなら、今日の夜からでも子作りを」
「怠りましたね」
「え?」
「報連相。……怠りましたよね」
「あ、葵ちゃん……?」
「わたしの知らないところで、あんなことしたりこんなこと言ったりして、よくもヒナタくん泣かせましたね」
「あれ? 泣いたの弟くん」
「泣いてないです」
「と言うことで。休暇が終わりましたら、わたしの方からボス様にいろいろチクっておきたいと思いますので。仕事量増アンド数ヶ月の減俸は覚悟しておいてください」
「えー……! そりゃないよ葵ちゃん……」
「罰則です。当たり前です。もう二度とこんなことがあってはいけませんから」
「はーい。わかりましたあー」
社務所を離れ境内の中を一通り見ていると、ふと後ろを歩いていたヒナタくんが足を止めた。
怒らせてしまっただろうか。こんなところで、何してたんだって。
「……いいなあ。オレも巫女衣装見てみたかった」
「え……?」
振り返ったら、ちょっと拗ねた顔して空を見上げていた▼
「……なら、今度また着ようかな」
「写真は? 撮ってないの」
「うん。だからまた着るね!」
「機会があったらでいいよ。無理にとは」
「知ってるかいヒナタくん。巫女さんは堂々と上位に入り込んでくるほどの人気衣装なんだ」
「(……あ、なんか嫌な予感がする)」
「だから今度、共にオタクな祭典に行こ! ね!」
「ごめん、やっぱいい」
「わたし巫女さんの衣装着るからさ!!」
「うん、やっぱいい。ごめん」



