すべての花へそして君へ③


『皆さん、もう大丈夫ですよ』


 その声と彼女が伸ばした手に、三人ははあと大きな息を漏らし、ほっと安心したように肩の力を抜いていた。
 オレも、吸っていた煙草を消し、携帯用灰皿にそれを捨てる。


『ヒナタくん』

「ん? 何」

『もう大丈夫だよ』

「……何、が」

『もう大丈夫。もう、絶対一人にしないから』

「……それ、って」



【先生が笑って報告したことは、オレの中でも一応は理解できたし、そのことについては怒ってないよ。……腹が立ったのは、その後先生が無責任に『もう一生会えないなんてことはないんだから』って言ったからだよ】

【……どう、して……?】

【逆に訊くけど、何でわかるのそんなこと。あおいにはわかるの。何か根拠があってそう言ってるの】

【違うよ。どうしてもう、一生会えないなんてヒナタくんが思ってるのかがわからないの】


“――だったらあんたは、絶対大丈夫だって言い切れるの”



「……あお」

『あの時、苦しそうな顔をしていたのに、わたしは君に、何も言ってあげられなかった。それをずっと、ずっと悔いてた』

「…………」

『君が欲しかった、確かな【大丈夫】という言葉を、その時のわたしは、それを安易に口にすることはできなかった。ちゃんと、言ってあげられなかったんだ』

「あお、い……」

『だから、言ってあげる何度でも。君が不安になったその度に。君の不安がなくなるまで、何回でも』



【大丈夫だよ】

 まるでその言葉が、この悪夢を終わらせるキーワードだったかのように。見ている世界は、剥がれ落ちていくように崩壊していく。



『そっちのわたしにもよろしく伝えといてね?』

「……うん、わかった」

『また会えるといいね! あ、でも君はもうこの世界には来たくないんだっけ』

「……まあちょっと楽しかったから、あと何回くらいかは来てもいいかも」

『そっか! ……ふふ。よかった。じゃあまたその時まで』

「うん」