すべての花へそして君へ③


“最後のパーは、……恋人に戻った証”



「ねえヒナタくん」

「ん?」


 絡まり合う指先に、お互いの温度を分け合う。


「もうできなくなるのかと思った。こういうこと」

「あーそれはないね」

「……言い切るね。どうして?」

「オレのプランでは、数年後にはあおいと同じ仕事について、いっぱい功績上げて、追いついていつの間にか追い越してる算段だったから」

「そ、そう……」

「だから、あおいは好きなようにしたらいい。オレの執着具合は、存分に知ってるでしょ?」


 ……ああ、もう。


「嬉しいこと、ばっかり言うんだから」

「あんたには敵いっこないけどね」

「そんなことないのに」

「だから、たまにはオレが諦めたところも出させてよね」

「諦める? 何を諦めたの?」

「男のプライド」

「…………」

「オレがヒロインっぽくなってるところあるんだけど。違うから、あんただから。何であおいがヒーローっぽくなってんの」

「……?」

「そうじゃないの? って顔やめて。ほんと、お願い」


 それについては冗談だけど、男のプライドについては……ちょっと考え物だな。
 だってわたしは、守られるだけのヒロインじゃない。最強のヒロインなんだから。


 繋いだ手をぎゅっと握ると、それに応えるように握り返してくれる。

『言いたいこと、思ってること。わかんないと思ってんの? わかってるよバカ』

 何故かそう、言われているみたいだった。
 それもそれで、いいような悪いようなと思っていると、不意にヒナタくんが大きな欠伸をした。気付けばものすごい時間になっている。

 昔ならモミジさんが出てきていたくらいには遅い。というか、一部の人は恐らく朝と言う。