“最後のパーは、……恋人に戻った証”
「ねえヒナタくん」
「ん?」
絡まり合う指先に、お互いの温度を分け合う。
「もうできなくなるのかと思った。こういうこと」
「あーそれはないね」
「……言い切るね。どうして?」
「オレのプランでは、数年後にはあおいと同じ仕事について、いっぱい功績上げて、追いついていつの間にか追い越してる算段だったから」
「そ、そう……」
「だから、あおいは好きなようにしたらいい。オレの執着具合は、存分に知ってるでしょ?」
……ああ、もう。
「嬉しいこと、ばっかり言うんだから」
「あんたには敵いっこないけどね」
「そんなことないのに」
「だから、たまにはオレが諦めたところも出させてよね」
「諦める? 何を諦めたの?」
「男のプライド」
「…………」
「オレがヒロインっぽくなってるところあるんだけど。違うから、あんただから。何であおいがヒーローっぽくなってんの」
「……?」
「そうじゃないの? って顔やめて。ほんと、お願い」
それについては冗談だけど、男のプライドについては……ちょっと考え物だな。
だってわたしは、守られるだけのヒロインじゃない。最強のヒロインなんだから。
繋いだ手をぎゅっと握ると、それに応えるように握り返してくれる。
『言いたいこと、思ってること。わかんないと思ってんの? わかってるよバカ』
何故かそう、言われているみたいだった。
それもそれで、いいような悪いようなと思っていると、不意にヒナタくんが大きな欠伸をした。気付けばものすごい時間になっている。
昔ならモミジさんが出てきていたくらいには遅い。というか、一部の人は恐らく朝と言う。



