結果、土砂降りになった。
「口開けて。……もっと」
「ふぁ、んむ」
「もっと出して。もっと求めて」
「あ、んんっ」
雨のまにまに。快楽へと誘う言葉に身を委ねる。上手く息ができなくて、それでも何とか答えたくて。そこへと辿り着きたくて。彼の全てを受け止めたくて。
「でも、オレ連絡入れたしね。悪いの完全にシズルさんじゃん?」
「はあ、はあ……っ、はあ」
「こぼれてる。舐めて」
「んんっ……」
いつの間にか組み敷かれていたわたしは、酸欠で頭が回らないまま無意識のままに、こぼれたそれを、彼の指から舐め取っていく。
「……なんか、すげーえろいね」
「……ん?」
「ちょっと悪いことしてる気分」
解放されたのは窒息寸前。彼の腕の力も雨の勢いもようやく緩んでくれたので、わたしが落ち着くまでの間、しばしお日様の匂いを堪能させてもらうことにした。
だいぶ落ち着きを取り戻してきた頃。上気した頬へ、そっと手が伸びてくる。
「言えたらいいけどね」
「……え?」
「面と向かって? 言えたとしても、とても本気じゃ言えない」
「な、なんで……?」
頬に触れていた手が、よしよしと慰めるように頭を髪を撫でていく。
「オレが、男だから」
「……そんなの」
「あと、あんたのことよくわかってるから」
「え、……んっ」
静かに唇を塞いで、ゼロの距離で愛を囁く。
「どうしようもなく、愛しいからだよ」
「……!」
わたしの言葉を待たず、その驚きすらも口付けと一緒に奪われる。
「言ったろ? これも見栄。格好付けたい、好きな子には特に」
「……でも」
「応援したいじゃん。好きな子がすることは。あおいだってそうでしょ?」
「……そう、だけど」
「でも他のことは言える。我が儘だって、願望だって」
「え? ……んっ」
「さっきのだって……今のだって、ちゃんとしたわがままだし。願望。……欲求」
むにっとほっぺたを抓んでくる彼は、至極楽しそうだ。いや、嬉しそうだ。
隣へ横になる彼の方へ、ぐるんと体を向けると、やっぱり嬉しそうに笑ってぎゅっと抱き締めてくれた。
「ていうか、やめろって言っても言うこと聞かないから、絶対言い損で終わると思うんだよね」
「い、言ってみないとわかんないよ?」
「ごめん間違えた。言い損で終わる。絶対終わる。言い切る」
「……むぅ」



