すべての花へそして君へ③


【考え】
 いつまで、縛られなくちゃいけないの。

【道】
 どうして、こんな目に遭わなくちゃいけないの。

【運命】
 何故――……わたしだったの。



 今だからわかるのは、無意味。そして時間の無駄。
 よく考えたらだって、これって普通のことだと思うの。生まれてきた人に、必ずあるものでしょう?

 その人に定められた運命というものがあったから、この世界に生まれて。その先の道は、一本道かも知れない。もしかしたら何本もあるかも。それを見つけられるかどうかは、自分の考え方次第。みんな。みんな、持ってるものなんだよ。

 ただ、それが人によって違うだけ。それが、その人の人生というもの。
 わたしは……さ、それが人よりもちょっと特殊なんだ。ただ、本当にただ、それだけのこと。



『……ふむ。そういえば聴取にはシントも行くんでしたね。だったら今のうちに少し訊いておこうかな』

『何かしら。私で答えられることなら何でも訊いて?』

『あ。……ありがとうございます』


 静かに息を吸い、姿勢を正す。今更、畏まったところで、ティッシュ箱脇に抱えてるんだから、見た目全然引き締まってないんだろうけど。


『すみません。難しいようでしたらまた改めて伺うので、今可能な範囲でお願いします』


 けれど、これがわたし。
 まだ、齢18にも満たない、だいぶおかしな女の子。

 それが、わたしという人間だ。


『――わたしが“赦された身”だということはわかりました。なので、“赦されなかった半身”に下された罪状と、それを背負うわたしの務めを、できれば事細かに説明していただけますか』


 だから、すんなり受け入れられる。
 これが、“わたし”だから。


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 ――――……