「あーでもちょっと待って」
「ん?」
「オレんち来るって言ったよね」
「う、うん」
「……ちょっと無理かも」
「あ、無理にとは」
「いや、行くなら一回父さんに会いに行かないといけないんだよ。すっかり忘れてた」
「そうなの? わたしは別にいいけど」
「いいわけないでしょ。恋人水入らずのところ、今会いにでも行ったらしばらくの間離してもらえないよ。あんたはそれでもいいの。オレは嫌だよ」
「そ、それは……確かに」
うーんと、二人でどうしたものかと考えていると。ふと、ヒナタくんが何かに気付いたように声を上げた。
「ねえ、あんたもしかして今鍵持ってる?」
「え? 何の?」
「あれ。机の上になかった? 鍵。家の」
「ん? ちょっとよくわかんないんだけど」
「クリスマスに、置いてなかったかって」
「ああ! 持ってる持ってる! ……え。でもなんでヒナタくんが知ってるの」
「オレが置いていったからね」
「……ん? その心は?」
「それ、オレんちの合い鍵」
「……っ、えええッ!!??」



