「……でも何でわかるんだよ」
「もう一人の共謀者から、無事送り出したって連絡が来たからさ」
でも、それを聞ければ十分だ。これでようやく肩の力が抜ける。
「お疲れ様」
「ああ」
大きく息を吐きながらズルズルと壁伝いに座り込むと、そんな様子に笑いながら、彼は俺の隣に静かに並んだ。
「悪かったな、巻き込んで」
「巻き込まれたなんて思ってないさ。寧ろこれで、借りすぎていた分の帳尻が合うんじゃないかと思っているよ僕は」
何のことだよ。そう聞いても「こっちの話。だから気にしないで」と、やはり彼は楽しそうに笑っている。
「それにこちらとしては、用意しておいた『二人だけの時間』って賞品が、無駄にならずに済んでよかった」
「それを聞いた時、俺は耳を疑ったよ」
「僕だって、まさか君からあんなお願いされるとは思わなかったよ」
「それは……」
『失敗したら、“あの事”バラしちゃうからね』
『……はい?』
『バラされたくなかったら、死に物狂いで頑張ってね~』
『ちょ、あの事って何のこと言って――』
「……こっちにも、いろいろと都合があったんだよ」
「ふ~ん、そっか」
少しばかり含みのある笑い方だが、さすが考えていることは表へ出て来ることはなく。それでも嫌に感じないのは、きっと心底、彼が楽しんでいるからに違いない。そう思うことにしておいた。
「僕たちも何とかしてあげたいと思っていたんだ。このパーティーが、何かしらのきっかけになれればって考えてたから……ほんと、願ったり叶ったりさ」
【――二人のためなら、僕らも是非協力させてくれ】
彼らがあいつらと、どんな関係までかは知らない。
でもこの笑顔だ。きっと、彼らにとってもいい時間が過ごせたのだろう。
「あ、君にも一応準備してあったんだよ賞品。何か知りたい? 知りたくない?」
「ワイン」



