すべての花へそして君へ③


 もしお前や、お前にとって大切な人に命の危険が迫った時。

【片方が命を落とせば、もう片方の命は救ってやろう】

 ……そんな選択を、迫られたとしたら。


『お前はどうする』

『謎掛けか何か?』

『いや、直感でいいよ』

『そう? なら――……』


 ――――――…………
 ――――……


「またその話? やっぱり謎掛けだったわけ?」


 そしてその問いに、お前は考える間も取らず即答した。
 ――どちらかなんて選ばない。絶対に二人同時に助かる道を探すと。


「それがどうしてもできない時はどうするんだよ」

「前も言ったじゃん。その時は、潔く二人であの世行き」


 こんな物騒な質問している俺が言うのもどうかと思うが。
 どうしてこんなにもあっさり答えられるのか。どうしてはっきり即答できるのか。考える時間さえいらないのか。俺には、それが不思議で仕方がなかった。


「はあ。これで満足?」

「……理由は」

「理由? そんなの」


 もし、あいつのいないこの世界に残って、何かいいことがあるか。楽しいことがあるか。
 もし、オレがいなくなったとして、あいつはその世界で同じように笑えるか? 馬鹿で変態のままでいられるか?

 ……矢継ぎ早にそこまで言って、ふんと小さく鼻で笑う。


「あいつのいない世界なんて、全然面白くないに決まってるじゃん。オレのいない世界なんて、あいつが大泣きするに決まってるでしょ」

「なんちゅう自信」

「笑いたきゃ笑えば」

「いいや?」


“――まあまあ! ブラコンのお兄ちゃんに免じてもうひとつ、教えて進ぜようと思ってね!”


「いっそ、清々しいわ。馬鹿野郎」


 でもきっと。……だから、お前なんだ。