もしお前や、お前にとって大切な人に命の危険が迫った時。
【片方が命を落とせば、もう片方の命は救ってやろう】
……そんな選択を、迫られたとしたら。
『お前はどうする』
『謎掛けか何か?』
『いや、直感でいいよ』
『そう? なら――……』
――――――…………
――――……
「またその話? やっぱり謎掛けだったわけ?」
そしてその問いに、お前は考える間も取らず即答した。
――どちらかなんて選ばない。絶対に二人同時に助かる道を探すと。
「それがどうしてもできない時はどうするんだよ」
「前も言ったじゃん。その時は、潔く二人であの世行き」
こんな物騒な質問している俺が言うのもどうかと思うが。
どうしてこんなにもあっさり答えられるのか。どうしてはっきり即答できるのか。考える時間さえいらないのか。俺には、それが不思議で仕方がなかった。
「はあ。これで満足?」
「……理由は」
「理由? そんなの」
もし、あいつのいないこの世界に残って、何かいいことがあるか。楽しいことがあるか。
もし、オレがいなくなったとして、あいつはその世界で同じように笑えるか? 馬鹿で変態のままでいられるか?
……矢継ぎ早にそこまで言って、ふんと小さく鼻で笑う。
「あいつのいない世界なんて、全然面白くないに決まってるじゃん。オレのいない世界なんて、あいつが大泣きするに決まってるでしょ」
「なんちゅう自信」
「笑いたきゃ笑えば」
「いいや?」
“――まあまあ! ブラコンのお兄ちゃんに免じてもうひとつ、教えて進ぜようと思ってね!”
「いっそ、清々しいわ。馬鹿野郎」
でもきっと。……だから、お前なんだ。



