すべての花へそして君へ③


「……はあ。何したらいいんですかね」


 だからって、そう言われてここでそれを断ってみろ。人として駄目だろ。良心痛みまくりだわ。


『ありがとう。また君にも改めてお礼させてもらうね』

「いいですよ。ちょうど俺も、そろそろサンタクロースやってみたいと思ってたんで」

『あれ? 去年やってたよね、ミニスカサンタ』

「…………」

『似合ってたよー。でもやっぱり本物の女子高生の生足には負け――』

「何すればよかったんでしたっけ」


 また電話口で爆笑されてしまったけれど。


『助かるよ。ゲームの内容はあとで放送されると思うけど、一応話しておくね。それで、君にやってもらいたいことなんだけど――……』


 ――――――…………
 ――――……


「こんなところで何してんのツバサ」


 パーティー会場の外。賑やかな音は聞こえない。人気のない廊下の隅に、ちょうどいい具合に置いてあった二人掛けのソファーへ、俺は腰を下ろしていた。


「何ってお前、捜してたに決まってんだろ」

「誰を」

「お前」

「どう見たって捜してないじゃん」


 怪訝な顔で文句を言う彼に、そんなことねえよと呟く。
 まあ行きそうな場所の目星を付けただけだし。そこでただ待っていただけだけど。でも、捜していたのは本当。


「まあいいや。それで? オレに何の用?」

「用があるのはお前じゃねえの」

「何そのドヤ顔。腹立つくらいにはウザいけど」

「そうか。違ったんならお前に用はねえよ」


 したり顔でふっと笑うと、弟は口を結んでこちらを睨んでくる。
 どれくらいその状態が続いたか。暫くして、「ま、そうだけど」と諦めたように大きなため息をついた。


「ん」

「なんだその手は」

「ん」

「口があるんだからちゃんと言え」

「出せ。つうか返せ」

「お前なあ」


 それが人にものを頼む態度かと、隣に座る弟にがっくりと肩を落とす。
 用事はわかっていたし、端から渡すつもりではいたけれど。


「おお。さんきゅーさんきゅー」


 内ポケットから取り出したカードに、日向は見たこともないくらい嬉しそうに口角を上げた。


「何か言うことは」

「え? ……ありがとう?」

「他」

「賞品ゲットしてくるね?」

「違う」

「人いっぱいで疲れたから、ゲームして遊んでくる」