すべての花へそして君へ③

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「それでねそれでね? もうあかねったらカンカンで!」

「そ、それは約束ほったらかしてたおうりが悪いよ」

「ほったらかしてないもん! ちょっと遅れただけだもん!」

「ちょっとじゃないよ。もう終わりかけだったでしょ」


 新しく来たお茶請けと美味しい紅茶に、暴走していたお腹の虫もなんとか静まり。わたしはみんなと一緒に楽しく歓談をしていた。
 決して忘れているわけではないけれど、楽しそうな可愛い二人を見ていると、どうも口を挟むのが憚れる。それはわたしだけではなく向こう側もみたいだけど。


「あーちゃん聞いてる?」

「え? うん。でも、どうしてまたそんな風になったの?」

「言っただろ? オウリが約束すっぽかしたんだよ」

「道場の稽古を手伝う約束だったんだよね? 正直、アカネくんがここまで怒ってるのが予想外で」

「おれらが手合わせしてるところを、生徒たちに見せる予定だったんだあ。ま、それがなくなったから勧誘も上手くいかなくってえ……」

「あらあら。それは結構いろんな人に迷惑を掛けちゃったのね」


 オウリくんこう見えてしっかり者なのに。珍しいこともあるもんだ。


「でも、人間誰しもうっかりしてしまうこともあるから、今回だけはわたしに免じて多めに見てあげてくれない?」

「あーちゃん……!」

「あおいチャンってば、おうりに甘過ぎるよ」

「そんなことないよ? でも喧嘩よりも楽しい話の方が聞きたいなあと思って」


 あ、またやってしまった。
 自分から二人に話を振っておいてなんだが、どうやら思った以上に話を切り上げるのがあまり上手くないらしい。加えて相手が相手だ。正直詰んだ。


「はあ。うっかりじゃなくてすっかりだよ。オレらと遊んでて忘れてたんだから」


 どうしましょうか、と視線で話をしていると、ため息をついたチカくんがそう話を切り出した。喧嘩してたのはさっきチカくんにも聞いたから知ってたけど、それは初耳だ。


「ち、ちーちゃん、それは言ったらダメなやつ……!」

「おーうーりーッ!!!!」

「わああ! だからごめんってばっ!!」


 そして猛スピードでわたしたちの周りをぐるぐる追いかけっこし始めたウサギさんとカメさん。


「ささ桜李くん、出口は此方ですよ。約束を忘れてはダメですが、鬼ごっこは頑張ってください」

「ありがとーきょーくん!!」


 そして手招きをした彼は、先程わたしたちが入ってきた扉からオウリくんを逃がし、アカネくんがそこを通る前にバタンと閉めた。


「むうっ、卑怯ですよ」

「二宮くんには此方の道を」

「え?」

「私は桜李くんの味方ではありますが、約束は破ってはいけませんからね」


 そして本棚の本を数冊入れ替えると、静かに本棚が動き隠し扉が。何処の理事長室の部屋にも、隠し扉ってあるんですかね。


「狡賢い桜李くんが脇道に逃げていれば、此方から先回りできると思います」

「わあ! ありがとーございますりじちょー先生!」