――連絡を入れてみようか。
そう思い振り返ると、今度は背中越しにガチャリと音が。
「……お、おいアオイ」
チカくんの声にもう一度扉の方を見てみると、先程まで閉まっていたはずの扉が、僅かに開いているではないか。二人顔を見合わせ、唾を飲み込む。
「……誰か、いるんですか……?」
中からの返事はない。目をこらして見るけれど中は真っ暗。何があるのか、誰かいるのか、さっぱりわからない。
「取り敢えず、入ってみるだけ入ってみようか」
背中の彼から返事はなかったけれど。ガシッと肩に手が乗っかってきたので、少しずつ前へ進んでみることに。
そして……一、二、三歩、歩いてすぐのことだった。バタン――背後の扉が、大きな音を立てて閉まったのは。
廊下も、そこまで明るくなかったからか、暗闇には割と早くに目が慣れた。振り返ったそこには、見覚えのあるシルエットが二つ。またしても噂をすれば影、か。
「「怨めしやあ~」」
「それは夏の催し物だよ、二人とも」
「ええ~。なんですぐわかっちゃったの?」
「もうちょっと驚いてくれると思ったのにね?」
「ごめんね? でもわたし、幽霊の類いは怖くなくて」
「まあ、背中の人は十分驚いて息止まっちゃってるけど」と、ペチペチほっぺたを叩いてあげる。おーい、帰ってこーいチカくん。
「それじゃあ案内するね!」
「この奥に、あーちゃんと話がしたいって人がいるんだ」
そう言って顔を照らしていた懐中電灯を消した彼らは、楽しそうな顔で笑っている。しかもわたしと話がしたいって……まさかとは思うけど。
「お前らなあ……」
「あ、ちかクン帰ってきたね」
「あ、でもちーちゃんは特に何も言ってなかったね」
「チカくんは今わたしに付き添ってくれてるから、一緒じゃダメかな?」
「うーん、多分大丈夫だと思――」
「特に用事はないみたいだからここにいてもいいよ? その辺にいる人体模型さんと骸骨さんと一緒に待ってても――」
「一緒に行くに決まってんだろばか……!」
「「「あ~あ、泣かしたー」」」
部屋を奥へと進むと、隅の方に扉らしきものがあった。
そちらに気を取られていたので、落ちていた人骨を軽く蹴ってしまった。小さな音がするたびに、背後から時折微かな悲鳴のようなものが上がった。
「さっき慌てて出てきたからねー」
「扉開かなかったもんねー。あ、見てちーちゃん。目玉が落ちてる」
「み、見せなくていいから、ちゃんと元に戻してやってくれ……!」
扉の前を人体模型さんとガイコツさんで塞がれてしまっていたらしい。倒れている彼らについては、取り敢えずいろいろ拾っておいてあげた。



