エンドロールは救いの詩を

ナナside
「貴方達の今後についてお伝えします」
私達を捕らえさせた張本人である総理大臣が現れ、そう告げる。
私達は何を言われるのか緊張した面持ちで聞く。
「この度キュースレー隔絶法が施行されます。キュースレーは完全に隔離を行うというものです。ただし、もう二度とキュースレーの治療の力を使わないと宣言するなら、ここから解放するコトも検討しましょう」
キュースレーの治療の力を使わない。
そう言えばここから出るコトが出来る。
「但し、外に出て治療の力を使ったと判明した時は、命はないと思ってください」
総理大臣は冷ややかな瞳で告げる。
その瞳から本気であるコトが感じられた。
私は自分の手を見つめる。
そしてこの手で救ってきた今までの人のコトを思い出す。
そして総理大臣は私の方を指差した。
「まずは君から聞こう。キュースレーのまま、ココで生涯を終えるか、二度と治療は行わないと宣言してココから出るか」
私の心臓が高鳴る。
もう二度と治療はしない。
そう宣言すれば私は助かる。
それは分かっていた。
頭では分かっていた。
それでも私の心が叫んでいる。
「私は...」
総理大臣が笑みを浮かべながら私の答えを待つ。
きっと「もう治療しないから助けてくれ」と私が言うと信じきっているのだろう。
それでも私は...。
「私は助けを求める人が居たら助けます。傷ついている人が居るのなら治療します。それが私の誇りで、生き方だから」
私は真っ直ぐ総理大臣を見つめて言う。
総理大臣は私の答えを聞いた瞬間に浮かべていた笑みを消した。
「...助ける...?誇り...?助けられなかった人も居るっていうのにふざけた誇りだな...」
小さく話し続ける総理大臣。
その声色には怒りが含まれていた。
それでも私はここで折れてはいけないと思った。
「過去には間に合わず、助けられなかった人も確かにいます。それでもこれから助けを求める人を助けない理由にはならない。私は助けを求められたら最後の最後まで諦めず、助けます」
私の言葉に総理大臣は檻の隙間から手を伸ばし、私の胸ぐらを掴んだ。
周りにいたキュースレーは悲鳴を上げる。
「ふざけるな...お前らの夢物語に付き合わされる身にもなれ...」
総理大臣の瞳には怒りと、悲しみがあるように思えた。
総理大臣は私から手を離す。
「連れて行け」
そう言った瞬間、周りにいた警官が檻の鍵を開け、入ってくる。
そして私の腕を掴み、歩き出す。
私は強い力で掴まれたまま、引き摺られるように連れて行かれる。
私は何も言わないまま、歩いていった。
そして連れて行かれた部屋に入り、両手足を縛られ、そのまま放置されたのだった。