エンドロールは救いの詩を

家を出た先にいたのは8人の警察官だった。
「なんだ...お前ら...」
「ここで救難信号が出されたのを確認しました」
先頭にいる警察官が持っていたのはキュースレーが救難信号が出ているのを確認できるスマホだった。
「キュースレーを連行します」
一言、そう告げる。
そして俺の後ろにいるナナに向かって手を伸ばそうとする。
「おかしいだろ...」
俺は警察官の腕を掴む。
「キュースレーは何も悪いコトなんてしてねぇ。それなのに問答無用で連行なんておかしいと思わねぇのかよ」
俺の言葉を聞いても警察官の真顔は崩れない。
「キュースレー捕まえるよりもっとやんなきゃいけねぇコトがあるだろ!あのふざけた総理大臣を何とかしろよ!」
俺は大声で叫ぶ。
それでも目の前にいる警察官達は動じない。
後ろを見るとナナは不安そうにしており、家の奥からこちらを見る婆さんも不思議そうな顔をしている。
俺が何を言っても、今すぐにこの現状を変えるコトは出来ない。
それが痛い程分かってしまった。
俺はナナと目を合わせる。
そして小さく、でもナナに確実に届くように告げる。
「ナナ、走れ」
そう言った後、俺は警察官に殴りかかった。
俺に殴られた警察官は地面に倒れる。
その瞬間、周りにいた警察官も戦闘態勢に入る。
元々の反射神経の良さもあり、警察官が俺を捕えようとする手を俺は避けていき、次々と警察官を殴っていく。
そしてなんとかナナが抜けられる幅を開けるコトが出来た。
「ナナ!いけ!」
俺の声を聞いて、ナナは不安な顔をしながらも、すぐに走り出した。
そしてナナは道路に出ていく。
俺も後に続き、走っていく。
このまま走っていけば撒くコトが出来ると思ったその時だった。
「ぐっ...」
聞こえてきた一発の銃声音。
そして俺の足に走る痛み。
俺は地面に倒れた。
足の方を見ると血が流れていた。
後ろを見ると、俺を撃ったであろう銃を持つ警察官が一人残り、他の警察官は俺達の方に向かって走ってきていた。
「リクさん!」
ナナは俺の方に駆け寄ってこようとする。
「俺はいい!いけ!」
力を振り絞って、そう叫ぶ。
それでもナナの足は俺の方に向かう。
ナナが俺の下へ着き、怪我をした足に手を当て治療を始める。
そして警察官たちも俺たちの下へ着く。
警察官はナナの治療をジッと見た後、話し出す。
「この治療を行うコトは許可します。但しこの後我々と共に来てください。そうでなければ彼を含め、もっと周りの人間が痛い目に合うコトになります」
こいつらは何言ってるんだと思った。
そんなふざけたコトを言う人間が警察官として機能しているコトに苛立った。
「こんな奴らの言うコトなんて気にしなくていい。早く..
逃げろ...」
俺の言葉にナナは答えない。
次第に足からの痛みが消える。
そしてさっき撃たれた足の怪我は治っていた。
ナナは俺の足から手を離す。
そして俺の方を見る。
その顔は涙を堪えながら、必至に笑顔を作っていた。
「...リクさん...ごめんなさい...」
そう言ってナナは立ち上がり、警察官の方へ歩いていく。
「ナナ!」
ナナを追いかけようとする俺の腕を掴んだのはアキだった。
「お前...なんで...」
「今暴れても一緒に捕まって終わりだ。作戦を立てる。絶対に救い出す。だから今は堪えて」
アキの真剣な表情に何も言えなくなる。
俺は再びナナの方を見る。
警察の中に居る小さくて、不安げな背中。
俺はその背中に決して届かない手を伸ばすだけで精一杯だった。
「ナナ...」
ナナは警察に連れて行かれた。