エンドロールは救いの詩を

救難信号が出されたのは少し街中に行った一つの家からだった。
俺たちは誰にも見つからないように移動し、無事にその家に着いた。
ナナは家の中に入る。
そこに居たのは一人の婆さんだった。
「ごめんねぇ。お湯を溢して火傷しちゃってね...。病院へ行くにも足が悪いから、呼ぶしかなかったのよ」
お婆さんは穏やかな表情で言う。
「大丈夫ですよ。すぐ治しますから」
ナナは火傷をしているお婆さんの腕に触れ、治療を始める。
そしてすぐに火傷痕は消え、元通りの肌になっていた。
「いつもありがとうねぇ」
お婆さんの笑顔にナナも笑顔で答える。
「婆さん」
隣に黙って立っていた俺は婆さんに話しかける。
婆さんは俺の方を見る。
ナナと一緒に家に入ってきた時も何も言わなかったが、今も俺の言葉をジッと待っていた。
「その...今起こってるコト知ってるか...?テレビとかでけっこう言われてんだけど...」
「テレビは先週壊れちゃったのよ。何処に修理してもらったら良いのか分からなくてね...。だから見てないんだけど、何かあったの?」
婆さんは本当に何も知らないようだった。
テレビやあらゆるモニター、スマホで見れるニュース記事で大々的に言われても、情報の入手方法がない婆さんには届いていなかった。
「...そっか...。まぁ気にしないでくれ。何でもねぇコトだから」
何でもないコト...ではない。
国全体を揺るがすコトが起こっている。
それでもナナの前でキュースレーの存在が危ぶまれているなんて言うコトは出来なかった。
「なんだか分からないけど不安なコトがあったのね...。あなたもさっきは笑顔を見せてくれたのに、今は不安な顔になってる」
そう言いながら婆さんはナナの顔に触れる。
「いつも助けてくれてありがとうねぇ。貴方達のおかげで私達は生きていられるのよ。そんな素敵な存在のキュースレーの顔が曇ってるのを見たら悲しくなっちゃうわ...」
そう言われたナナの瞳には涙が潤んでいた。
「私には奇跡の力なんてないけれど、貴方の頭を撫でるコトはできるわ。こんなコトしか出来ないけど、貴方の悲しい気持ちが少しでも晴れてくれたら嬉しいわ」
婆さんはナナの頭を撫でる。
ナナの頬に涙が伝う。
「...ありがとう...ございます...」
少し泣いた後、ナナはまた婆さんに笑顔を見せる。
「私を、キュースレーを必要としてくれる人が居るコトが分かりました。本当にありがとうございます」
ナナは婆さんに向かってそう告げる。
婆さんも笑顔になって答える。
「えぇ、貴方達は居てもらわなくちゃ困るわ。これからもよろしくね」
「はい!」
元気よくそう答えたナナは、「戦わなきゃ」と小さな独り言を溢す。
その決意を俺は聞き逃さなかった。
そして俺自身も戦おうと心に決めた。
「ナナさん、作戦を立てましょう。皆を救いにいきます」
「はい」
そして俺たちは婆さんの家から出る。