エンドロールは救いの詩を

「ボス」
「ん?なんだ?」
仲間達と離れ、街中に2人で歩いている中でアキは俺を呼んだ。
「これは噂程度だからさっき言わなかったんだけど、赤に手強い奴が入ったらしい」
「手強い?強いのか?」
「うん。でもどの方面に強いのかが分からない。単に武闘派なのか、情報集めが上手いのか...」
アキはどんな情報でも容易に集めてくる。
そんなアキが掴みきれない相手という時点で手強いように感じた。
「...いつもより警戒しとくか...」
俺がそう呟いた時だった。
「わわわわぁっ!!」
そんな声と一緒に背中に何かがぶつかってきた感触がした。
振り向くと見覚えのある顔があった。
「ナナさん?」
「わぁ!すみません!って、リクさん?...リクさん!?!?」
何があったのかは知らないが、ぶつかったのが知り合いの俺ならそんなに慌てる必要はないと思うのに、ナナさんは大きく動揺していた。
「えっと、あの、すみません。ちょっと荷物が重くて、よろけちゃって、あの、その」
ナナさんは大きな荷物を3個持っていた。
これだけ持っているならよろけてしまうのも仕方ないだろう。
「重そうっすね。持ちますよ」
そう言って俺は荷物に手を伸ばした。
「わぁあ!大丈夫です!それじゃあ!」
ナナさんは慌てた様子で走り去ってしまった。
「...なんだぁ?」
俺は不思議な顔をしたまま、隣のアキを見た。
アキは何故かニヤニヤ笑っている。
「なんでお前笑ってんだよ」
「ふふっ。いやぁ、昔のエリを思い出してさ」
「なんでエリ?」
「鈍感だねぇリクは」
何かを分かっているのに教えないアキに不貞腐れた顔をする。
「ふふっ、まぁまぁ。最近ピリピリした空気だったから、ほのぼのしたの見れて良かったよ」
「何もほのぼのしてねーだろ」
「まぁまぁ」
アキは仮面ではない笑顔になっていた。
その顔を見て、これ以上聞かなくても良いかと思った。
そのまま俺たちは歩いていくのであった。