エンドロールは救いの詩を

病院に着き、入り口から中に入る。
「誰か居ますか...」
俺がそう言おうとした時だった。
「わぁ〜助けてください〜!!!!」
大きな声で俺の方に走ってきたのはナナだった。
「え!?」
そしてナナは俺の後ろに回ると、身体にしがみつく。
「え〜こんなに可愛いのに〜」
そう言いながら俺の方に近づいてくるのは、小さなワンコを持ったキュースレー。
「小さい時に噛まれてからどんなに小さくても無理なんです〜!って、あれ?リクさん?」
泣きそうな顔で俺を見上げるナナ。
俺と気付かずにしがみついていたのかと少し心配になる。
「もう触れるかもよ?ほら、ほら」
「うわあああ!!リクさん助けてください!!」
「えー...」
キュースレーがナナにワンコを近づける。ナナは俺の身体を回り込むコトでワンコに近づくのを拒んでいた。
何故か俺の周りで繰り広げられる攻防戦。
俺はどうしたものかと立ち尽くしていた。
「えーと...」
「ほらほら〜。怖くないよ〜」
「わああああ!」
ワンコを近づけられたナナはそのまま外へ走っていく。
「待って〜」
ワンコを抱えたキュースレーは、ナナを追いかけて外へ走っていった。
そして俺は一人、取り残される。
「あのー...」
「どうされました?」
奥からもう一人のキュースレーが現れた。
「手首捻っちまったみたいで...診てもらえないっすか?」
「はい。こちらへどうぞ」
そう言ってキュースレーは奥の診察室へ案内する。
俺は病院の外を見る。
先程走っていったナナ達の姿は見えなくなっていた。
俺は診察室へ案内するキュースレーの方へ向き直り、着いていくのだった。