すべての花へそして君へ②


 それから、レンくんはヨーグルトとミルクのハーフ&ハーフを。わたしはアーモンドとクランチのハーフ&ハーフをそれぞれ買った。二人ともコーンではなくカップで。


「……あの、一つ思ったんですけど」

「ん? なーに?」

「……なんでそれにしたんですか」

「え? 美味しそうだったから」

「味似てますよね。 というか、食感ちょっと違うだけじゃないですか」

「そうだね!」

「それでいいんですか……」

「え? でもレンくん両方とも真っ白だよ? 似てるじゃん! しかも両方乳製品!」

「……いけませんか。好きなんです」

「いけなくないよ? 好きなんだからしょうがないっ」


 パクッとジェラートを一口。ん~! 暑い夏は、冷たいものがいくらでも入るね!


「……美味しそうで、何よりです」

「あ。レンくんちょっと頂戴」

「え?」


 返事を待たず、見えない速さで彼の分から一口奪った。


「……おお! ヨーグルトって結構美味しいね! 初体験!」

「……それは、よかったです」

「レンくんもいる?」

「いえ、オレは。……戴いたら、九条に悪いので」

「でもわたしが聞いたんだよ? 遠慮しないで」

「……じゃ、じゃあ」


 彼は、ほんの少しだけスプーンで掬って食べた。それが、本当に少しすぎて思わず噴き出す。


「ふふっ。遠慮してる」

「そりゃ。わかってくださいよっ」

「ははっ。ごめんごめん」


 そういえば。みんなはわたしと一緒に来るとか言ってたくせに、いつの間にかバラバラになって、どこかへ行ってしまっているんですけど。


「レンくん、みんなは?」

「え? さあ。あれじゃないですか? 皆さんあおいさんを喜ばせようと、何か目論んでるんじゃないんですか」

「え。喜ばすのに目論むの……?」

「知りませんよ。オレはアイさんに勝てただけで満足です」


 と、勝ち誇った表情でパクパク。どうやら彼は、あれを勝ったと。そう思っているらしい。まあ、そういうことにしておこう。なんか可愛いから。


「まあ、皆さんも普通に楽しんでるみたいですし、あおいさんの気持ちも、尊重してるんだと思います」

「え?」

「ずっと一緒にいなくっても、こうやってここに来られただけで、一つの思い出、できたんじゃないんですか? ってことです」

「……そっか。うんっ。わたしも、思い出できて嬉しいっ」