――いやいやいや! だから結局、それがしたいからどうすればいいか悩んでるんですってば!
「どーすればいいかなトーマ」
「ん? 子ども産めば?」
とんでもないことをさらっと言わないでください▼
「確かにそれも一つの幸せだな。……よし。あいつのはそれでいいとして」
ちょ……。さらっと流さないでくださいよ▼
「問題はこの世の全ての人だろ?」
「どうすればいいかなー……」
「え。ちょ、ちょっと。この世の全ての人とか、もはや無理……」
「は? でもしたいんじゃねえのか?」
「したいんじゃないの? 葵ちゃん」
「それは……」
……勿論、できることならしたい。でもさすがに、わたしもそこまで無謀じゃありませんよ。
「なーんだ。違ったのか」
「葵ちゃんならできると思ったのになー」
どうやら二人は、そうだと思ったから腹抱えて笑ったらしい。さすがにそれは無理ですって。さすがのわたしも、そこまでは求めてないですから。
「……こう、なんて言ったらいいんですかね。幸せのお裾分け? みたいな」
「「……んん??」」
「別に、狭い範囲でもいいんです」
この、わたしの手の届く、一人一人の幸せを。幸せである姿を……見ていたいなって。
つらそうにしていたら、手を差し伸べたい。その先には幸せが待ってるからって、背中を押してあげたい。そんなことがいつか、できたらなって思う。そして、絶対にその手の届く範囲に、みんなもいて欲しい。
人生先は長いですから。これから時間をかけて、そして長いスパンで、考えていきたいと思います。
(わたしは、わたしの野望を叶えるために、これからは生きていくんだっ)
あまりにも大きすぎる目標は、できないと一刀両断されてしまうものだろう。けれど、諦めない。諦めたくない。時間がかかってしまおうとも、絶対に。
(でも、分岐点はもうすぐ来るわけだし。……わたしはどうするか)
二人と別れ、そんなことを思っていると、ジェラートを買おうとしているレンくんを発見。
「あ! わたしも食べたい!」
「え。……あおいさん、さっきかき氷食べてませんでした?」
「アイスキャンデーも食べたよ!」
「だ、大丈夫なんですか……?」
「大丈夫大丈夫!」



