そう言うと彼は、ふっと軽く噴き出して笑った。
「全部当てはまってる。さすがだな。よくわかってる」
滅多に表情が変わらないと言った彼だけど、でもわたしはそんな風に思ったことは一度もない。まあ、わたしの前だからかも知れないけれど。
「そうなんだね。シントからその話は聞いてなかったけれど……うん。今度聞いてみることにするよ」
「ああ。きっと、ものすごい勢いで話すと思うよ」
だったら、溜まった鬱憤を吐き出すお手伝いでも、してあげましょうかね。
「あと、皇に必要なのって? どういうこと?」
「そのまんま」
「え?」
「バカでアホでムカついて、余所からは少し煙たがられたり、怖がられたりしてるみたいだからな」
「……そっか」
トップクラスへのし上がったのには、それ相応の努力があってこそだ。だが、上がったからこそ改善すべき点が、内側にはあるのだろう。
「だから、俺が偉くなって叩いてやろうと思って」
「え?」
「シン兄のことを支えていくことは絶対だし、俺もそれがしたいと思ってる。だから、シン兄の苦労を一緒に背負うと同時に、一緒に叩きのめしてやろうと思って」
「……ははっ」
きっと、シントにとってこれ以上心強い味方はいないだろう。彼ら二人が揃ってしまえば、きっと敵なしだ。シランさんも、そしてサクラさんも、安心できるだろう。もちろん、カエデさんも。
「そっかー。すごいね!」
「別にすごくない。ずっと昔から決めていたことだ。それに向かって、俺らはまずは大学で。いろいろな情報を集めることからはじめるよ」
「え? 普通に学びに行くんじゃないの?」
「それもあるが、人が集まる場所には情報がよく集まる。それが桜とあれば、そっち方面の情報も……な?」
「……は、はは……」
なんだかちょっと、黒い笑顔に顔が引き攣るけれど。
「……うん。そっか。アキラくんの夢はシントと一緒に皇をよくしていくことだね」
「そうだな。自分の家なのに寛げないのは嫌だっ」
最後はちょっと子どもっぽかったけれど。いつか彼の夢は叶ってしまうんだろうなと、妙な確信があった。
「葵は? これからどうするんだ?」
「わたし? わたしは……」



