向かい側の椅子に座っている三人は、向こうで盛り上がっていた。わたしとアキラくんで挟むように、真ん中に座っていたヒナタくんだったけど。さっき怒ったのが嘘のように、彼からはもう、スースーと小さな寝息が聞こえてきている。そんな可愛い彼に、今度は二人して小さく笑い合った。
「……あのさ、アキラくん。ちょっと聞いてみてもいい?」
「ん? なんだ?」
「あの。参考までに……ってだけだから、言いたくなかったらいいからね」
「え。……な、何を聞かれるんだ、俺は……」
怪訝な顔で身構えられてしまったけれど、そこまで変な話をするわけではない。きっとこの時期なら、誰だって考えることだ。
「アキラくんは、これからってどうするの?」
「……ああ。そういうことか」
人によっては言いたくないこともあるかも知れないと思って、一応断りを入れたんだけれど……どうやらそれも、杞憂だったようだ。
「俺らは桜大に行くよ。そこでまあ、これからの皇にとって必要なものを得るつもりだ」
「……ちょっと、突っ込み所満載なんだけど。まず、“俺ら”とは?」
「ああ。聞いてないか? シン兄もだ」
「え!? ど、どういうこと?」
それから彼の話を聞くところによると、どうやらシント、中学は退学になっているし、高校には通ってすらいないらしい。その辺りはなんとかして、高卒認定の資格は取るみたいなんだけど、どうやらその“学歴”に問題があるみたいで。
桜の大学を出た証明を取っておけば、まあいいだろう。と、皇がよくわからないことを言っているらしく。大学の方も、海棠がやってるからそこは融通効くだろう的なことも……。
「シン兄にとっては、皇にいたくないから万々歳だろうけどな」
「なんとまあ。ほんと、皇は怖いのかバカなのかアホなのかムカつくのか、よくわからないね」



