「ねえねえ! ちょっと思ったこと言ってもいい?」
「……なんで今言うの」
「言いたかったから!」
「はあ。……なに。空気ぶち壊しにしたんだから、それ相応の言葉じゃないと許さない」
「え。ど、どうしよう……」
「え。な、何を言おうと思ったの……?」
「え? いや、ん? ってちょっと思って!」
「え? ……何? なんかあったっけ」
怪訝な顔をしながら首を傾げた彼の、ほんのり紅をさす顔に、少しだけおひさまの影ができる。なんで首傾げただけなのに、こんなに絵になるんだろ。不思議だ。
「え。……おーい?」
「あ、ごめんごめん。いや、モミジさんは平気だったのかなって」
「……え?」
「幽霊とか、そんな類いのものダメなんでしょ?」
さすがにもうわたしに憑くことはないと思うけどね! そ、その。君がずっと、隣にいてくれるので。
「だから、ヒナタくんなんでモミジさんなら大丈夫だったのかな~? ……って思って!」
そう聞いてみるものの、彼は首を傾げたまま。……あ、あれ? お~い。ヒナタく~ん。
彼の前で何度も手を振ってみるけれど、こちらを向いているようで、焦点が合っていないような……影ができたからな? 顔色がちょっと暗い……――って! いやいやいや!
「ひっ、ひなたくんっ!?」
これ完全に顔色が悪くなっているじゃない!
慌てて彼の肩を掴んで何度も揺する。
「気持ち悪い。……酷い。全然意識してなかったのに……」
「ええ!? ちょっ。 た、大変です! ヒナタくんがー……!!」
こちらへと倒れてきた彼を支え、運ぼうと思ったけど……ついさっき、プライドがなんとかって言ってたから運ぶのはやめて、肩を支えながらなんとか部屋まで連れて行きました。



