すべての花へそして君へ②


「ねえねえ! ちょっと思ったこと言ってもいい?」

「……なんで今言うの」

「言いたかったから!」

「はあ。……なに。空気ぶち壊しにしたんだから、それ相応の言葉じゃないと許さない」

「え。ど、どうしよう……」

「え。な、何を言おうと思ったの……?」

「え? いや、ん? ってちょっと思って!」

「え? ……何? なんかあったっけ」


 怪訝な顔をしながら首を傾げた彼の、ほんのり紅をさす顔に、少しだけおひさまの影ができる。なんで首傾げただけなのに、こんなに絵になるんだろ。不思議だ。


「え。……おーい?」

「あ、ごめんごめん。いや、モミジさんは平気だったのかなって」

「……え?」

「幽霊とか、そんな類いのものダメなんでしょ?」


 さすがにもうわたしに憑くことはないと思うけどね! そ、その。君がずっと、隣にいてくれるので。


「だから、ヒナタくんなんでモミジさんなら大丈夫だったのかな~? ……って思って!」


 そう聞いてみるものの、彼は首を傾げたまま。……あ、あれ? お~い。ヒナタく~ん。
 彼の前で何度も手を振ってみるけれど、こちらを向いているようで、焦点が合っていないような……影ができたからな? 顔色がちょっと暗い……――って! いやいやいや!


「ひっ、ひなたくんっ!?」


 これ完全に顔色が悪くなっているじゃない!
 慌てて彼の肩を掴んで何度も揺する。


「気持ち悪い。……酷い。全然意識してなかったのに……」

「ええ!? ちょっ。 た、大変です! ヒナタくんがー……!!」


 こちらへと倒れてきた彼を支え、運ぼうと思ったけど……ついさっき、プライドがなんとかって言ってたから運ぶのはやめて、肩を支えながらなんとか部屋まで連れて行きました。