驚いたようにこちらを見つめてくる彼に、逆に驚いてしまった。
……ほら。やっぱり、わからないだろうって、気付かないだろうって思ってたんだ。
「……うん。そうならないと、役に立てないと思う」
「それも、別れたい理由のうちだもんね」
「別に隠してたわけじゃない。確かに、理由と言えばそうだった。ただ、理由にオレが位置付けてなかっただけ。目標として、持ってただけ」
「そうだね。そういうことに、しておこっか」
もう一度、わたしは窓の外を見上げてみた。
今度は、はっきりと澄んだ星空が見えてしまって、もう笑うことしかできなかった。
「3分と28秒か……」
「……何が」
「無駄に過ごした時間」
「………………」
反論もせず、彼はただ押し黙っていた。
どうやら、彼にこれ以上何かを言う意思はないらしい。
「ねえヒナタくん」
「…………」
「わたしのこと、もう好きじゃない?」
「……付き合う前からずっと好きだし、今も、これからだってずっと好きだよ」
だったらなんで、わたしたちは別れないといけないんだろう。どうしたら彼は、これからもわたしの隣にいてくれるだろう。
わたしが、普通の女の子だったら、よかったのかな。そしたら、彼をここまで悩ませることも。彼をこんな風に苦しめることも。泣かせることだって絶対、なかったんだろう。
(君の隣は、わたしを普通の女の子でいさせてくれたと、思っていたのにな)
だからって、今更くよくよしてもしょうがない。
確かに、こんな自分を疎んだことは過去に何度もあった。でもそれを、認めてくれる人たちがいた。こんなわたしを、好きになってくれる人がいた。そんな人たちの役に立てたことが、何度もあったんだ。
「ねえヒナタくん、覚えてる?」
わたしが、今まで君に伝えてきたいろんなこと。
好きだよって、大好きだよって、何回も言ったね。それから、優先順位の話もした。最近だったら、あちら側の世界の話もしたし、ヒナタくんは変わらないでねって話もした。
「君の笑顔はわたしが守るって。そう言ったよね」
「……そうだね」
「ヒナタくんがいるから、わたしは強くあれるんだって」
「うん。ちゃんと覚えてる。嬉しかったし」
「……そっか。覚えてて、くれたんだね」
――――だったら、これもちゃんと、覚えてるんだよね。
「わたしの未来の選択肢は、“どちらも無期限”ってこと。……一番大事なところ、抜かしたらダメだよ」



