すべての花へそして君へ②


 驚いたようにこちらを見つめてくる彼に、逆に驚いてしまった。
 ……ほら。やっぱり、わからないだろうって、気付かないだろうって思ってたんだ。


「……うん。そうならないと、役に立てないと思う」

「それも、別れたい理由のうちだもんね」

「別に隠してたわけじゃない。確かに、理由と言えばそうだった。ただ、理由にオレが位置付けてなかっただけ。目標として、持ってただけ」

「そうだね。そういうことに、しておこっか」


 もう一度、わたしは窓の外を見上げてみた。
 今度は、はっきりと澄んだ星空が見えてしまって、もう笑うことしかできなかった。


「3分と28秒か……」

「……何が」

「無駄に過ごした時間」

「………………」


 反論もせず、彼はただ押し黙っていた。
 どうやら、彼にこれ以上何かを言う意思はないらしい。


「ねえヒナタくん」

「…………」

「わたしのこと、もう好きじゃない?」

「……付き合う前からずっと好きだし、今も、これからだってずっと好きだよ」


 だったらなんで、わたしたちは別れないといけないんだろう。どうしたら彼は、これからもわたしの隣にいてくれるだろう。
 わたしが、普通の女の子だったら、よかったのかな。そしたら、彼をここまで悩ませることも。彼をこんな風に苦しめることも。泣かせることだって絶対、なかったんだろう。


(君の隣は、わたしを普通の女の子でいさせてくれたと、思っていたのにな)


 だからって、今更くよくよしてもしょうがない。
 確かに、こんな自分を疎んだことは過去に何度もあった。でもそれを、認めてくれる人たちがいた。こんなわたしを、好きになってくれる人がいた。そんな人たちの役に立てたことが、何度もあったんだ。


「ねえヒナタくん、覚えてる?」


 わたしが、今まで君に伝えてきたいろんなこと。

 好きだよって、大好きだよって、何回も言ったね。それから、優先順位の話もした。最近だったら、あちら側の世界の話もしたし、ヒナタくんは変わらないでねって話もした。


「君の笑顔はわたしが守るって。そう言ったよね」

「……そうだね」

「ヒナタくんがいるから、わたしは強くあれるんだって」

「うん。ちゃんと覚えてる。嬉しかったし」

「……そっか。覚えてて、くれたんだね」


 ――――だったら、これもちゃんと、覚えてるんだよね。


「わたしの未来の選択肢は、“どちらも無期限”ってこと。……一番大事なところ、抜かしたらダメだよ」