「実は俺、お化けとかそういう類いのものダメなんです」
「あれ? そうなんだ! なんか意外だね!」
「それで、……決してもみじさんが悪いわけではないのですが」
「……ああ、なるほどなるほど」
「寝ようと思ったら、天井の模様が人の顔に見えたりして寝付けなくて……」
「それでちょっと風に当たろうと思ったんだね!」
……ああ。よかった。
あおいさんがとっても単純素直なお人で。
「なーんて言うとでも思ったか。このわたしには、まるっと全部すべてごろっとお見通しだあ!」
「えええーっ!?」
「あ。ちょっとアイくん。夜遅いから静かにね」
「あっ。……す、すみません」
簡単に騙されてはくれませんか。
本当に、それだけは訊いて欲しくなかったんですけど。
けれど、それっきり口を噤んだ俺に、彼女はただ優しく微笑みを浮かべた。
「知ってた。わかってた。きっと言えないことなんだろうなって」
「あおい、さん……」
「それでもやっぱり、訊かずにはいられなくて。訊けたらラッキーって思ってたんだ」
――だから、そんな顔させてごめんね?
まるで彼女は、俺が何のことで悩んでるのかを知っているかのように、俺に謝罪を入れてきた。
どうして……? え。なん、で……。
そう言いたげな顔をしてしまっていたのか、彼女は俺の顔を見てふっと笑った。
そして、シーッと口の前に人差し指を一本、静かに立てた。
「アイくんバトルの最中にずっとこっち見てたよ。無意識だったでしょ」
……わ。それは本当に彼女の言っているとおりだ。
彼らのことが気になりすぎて集中力が欠けていた。だからレンに黒星つけられたとか、正直ちょっと時間を巻き戻したいくらい屈辱で。
「だからきっと、わたしに訊きたいことか言いたいことがあるんじゃないのかなって」
そう思っただけだよと。どうしてか彼女はすごく楽しそう……嬉しそうだった。
俺は正直、いろいろモヤモヤしているのに。
「『……ほんと。どうしちゃったんだろうね』」
「……え?」
「アイくんは、シーッだよ」
「あっ。……(すみません)」
でも、一体何のことだろうか。



