続く言葉に被さるように。一般への開放時間が残り少ないアナウンスが入った。
……ということは、もうあと少しで後夜祭が始まってしまう!?
「ヒナタくん大変! 理事長のところに行く時間が」
「なんとかなる」
「ならないよ! ほら早く! 優先事項!」
「オレの中で今一番の優先事項はあんたが言いかけた言葉なんだけど」
「それはあとでも大丈夫! 話は逃げない! だがしかし、時間はすぐにやってくるのだ!」
さあ立つんだ! と手を引っ張ってはみるけれど、彼はむすっとしたまま一向に立とうとしない。
「……ちゃんと言うから。後夜祭終わったら話そう? ヒナタくんもわたしに話してくれるんでしょう?」
「やだ。今知りたい」
……はい、そうですね。気になりますね。
わたしも言いかけてちょっと後悔してますよ。
「……わかった! じゃあこうしよう!」
「しない」
「今からひとつ、我が儘を叶えてあげる! 何でも言って? 何でもする!」
「やだ」
「……ちょっとね、時間が足りないから。今言っても多分中途半端に」
「みっつにして」
数の問題かーいっ。
いいでしょういいでしょう。それくらいなら何だって叶えてあげましょう。
「……たまにヒナタくんチョロいなと思ってしまうんだけど、わたしにだけか」
「喉渇いた。コーヒー買ってきて」
そしてまさかの一個目パシリ。
オッケーオッケー。美味しい缶コーヒーをご主人様にお届けに上がりましょうとも。
「それじゃあ行ってくる」
「二つ目」
「あ、ハイ」
「オレも、あおいからなんか欲しい」
「え?」
そう言う視線を辿ってみると、それは簡易包装されたレンくんへのプレゼントに向けられていた。そういえばわたし、ヒナタくんにいつももらってばかりで何も返してないかもしれない。
(……! それってわたし、彼女として最低じゃない!?)
慌ててポケットやポシェットの中身を漁ってみるけれど……まあ、めぼしいものはないわな。
「……三つ目」
必死の訴えあって、取り敢えず二個目は見送ってもらった。
……どうしよ。そのせいで最後の一つに難題持ってこられたら。
「一回オレのこと、呼び捨てで呼んでみて」



