すべての花へそして君へ②


 そうして指差した先にはフリーマーケット。そこへテクテクテクと歩いていき、一つ購入。


「……ミサンガ? それがどうし」

「レンくんにあげようと思って」


 昨年、チカくんたちが買ってくれた生徒会みんなでお揃いのミサンガ。ちょうど銀色があったから、新加入のレンくんもこれでお揃いだ。


「……ふーん」

「なんでわざわざ」

「え」

「って、思ったでしょ」

「……だったら、なに」

「別に?」

「……」


 明らかに苛立ちを隠しきれない彼に小さく笑いながら、そっと手を差し伸べる。


「……どうしろと」


 と、言いつつちゃんと握ってくれる可愛さに頬を緩ませ、大好きな手をぎゅっと握り返した。


「よおし! そんじゃ今から全店制覇目指すぞー!」

「は、はあ!? いや、時間的に無理」

「レッツゴー!」

「ちょ、早っ。お願いだから少しスピード抑え――……」


 ――――――…………
 ――――……


 きっと、変な子だと思われただろう。まだ、わたしの本性を知らない桜の生徒たちも、それこそ全然関係ない一般の人たちにも。
 でもいいのです! 本人たちはものすごく楽しかったので!


「ヒナタくん、アイスクリーム食べる?」

「ひ、一口もらおうかな……」

「はいどうぞ。あーんして」


 若干名恐怖でヘロヘロですが。
 なんだかんだ文化祭も終盤に。このあと後夜祭のため、二人でいられる時間はもう残り少ない。


「あのさ」

「楽しかったね!」

「……そうだね」


「ジェットコースターみたいだったけど」とぶつぶつ文句を言っているヒナタくんは、只今わたしの膝を枕に体力と精神力の回復中。


「……あおい、オレは」

「覚えてる? タカトが言った教えのこと」

「教え? まあ、覚えてるけど」

「きっとあれってさ、経験談なんだよ」

「あの人の?」

「それもあるけど、きっと、彼が尊敬してる人の」


 黒くなったやわらかい髪を撫でると、彼は気持ちよさそうにそっと目蓋を下ろした。


「ねえ、ヒナタくん」

「ん……?」

「さっき言ってくれたことね? 本当に、すごく嬉しかったんだ」

「…………」


 そう思ってくれていたこともそう。
 ハッキリと、偽りのない言葉で言ってくれたこともそう。


「でも、それができなくなってしまうときが、いつか来てしまうかもしれないんだ」