そうして指差した先にはフリーマーケット。そこへテクテクテクと歩いていき、一つ購入。
「……ミサンガ? それがどうし」
「レンくんにあげようと思って」
昨年、チカくんたちが買ってくれた生徒会みんなでお揃いのミサンガ。ちょうど銀色があったから、新加入のレンくんもこれでお揃いだ。
「……ふーん」
「なんでわざわざ」
「え」
「って、思ったでしょ」
「……だったら、なに」
「別に?」
「……」
明らかに苛立ちを隠しきれない彼に小さく笑いながら、そっと手を差し伸べる。
「……どうしろと」
と、言いつつちゃんと握ってくれる可愛さに頬を緩ませ、大好きな手をぎゅっと握り返した。
「よおし! そんじゃ今から全店制覇目指すぞー!」
「は、はあ!? いや、時間的に無理」
「レッツゴー!」
「ちょ、早っ。お願いだから少しスピード抑え――……」
――――――…………
――――……
きっと、変な子だと思われただろう。まだ、わたしの本性を知らない桜の生徒たちも、それこそ全然関係ない一般の人たちにも。
でもいいのです! 本人たちはものすごく楽しかったので!
「ヒナタくん、アイスクリーム食べる?」
「ひ、一口もらおうかな……」
「はいどうぞ。あーんして」
若干名恐怖でヘロヘロですが。
なんだかんだ文化祭も終盤に。このあと後夜祭のため、二人でいられる時間はもう残り少ない。
「あのさ」
「楽しかったね!」
「……そうだね」
「ジェットコースターみたいだったけど」とぶつぶつ文句を言っているヒナタくんは、只今わたしの膝を枕に体力と精神力の回復中。
「……あおい、オレは」
「覚えてる? タカトが言った教えのこと」
「教え? まあ、覚えてるけど」
「きっとあれってさ、経験談なんだよ」
「あの人の?」
「それもあるけど、きっと、彼が尊敬してる人の」
黒くなったやわらかい髪を撫でると、彼は気持ちよさそうにそっと目蓋を下ろした。
「ねえ、ヒナタくん」
「ん……?」
「さっき言ってくれたことね? 本当に、すごく嬉しかったんだ」
「…………」
そう思ってくれていたこともそう。
ハッキリと、偽りのない言葉で言ってくれたこともそう。
「でも、それができなくなってしまうときが、いつか来てしまうかもしれないんだ」



