「かなくんは、……あたしのこと、好き……?」
尋ねると、彼は目玉を落としてしまいそうなほど大きく、目を見開いた。
「……や、やっぱりきらい……」
「いやいやいや! 違うって。……てっきり伝わってるものだと」
「でもそうだよね、確かに俺、口に出してちゃんと言ってなかった。それ以上のこと言ってる気がするけど」ぼそぼそと、何かを呟いたかと思ったら、彼はこれでもかと言うほど思い切りあたしの体を抱きしめてきた。……い、息、できない。
「まさか、誰にでもキスしてると思われてるとは心外」
「……だ、って。かなくん前は……」
「前はね。それでも、俺からキスしたことはなかったよ。好きな子にしか、キスしないよ」
「……! かな、くん」
「好きだよ。……大好きだよ。ユズちゃん」
すっと腕を緩め、幾筋も通った涙の跡をそっと包み込むように、彼は両頬に手を添えた。
「……っ、あたじ……! かなくんのおよめさんになりまず……っ!」
「ははっ。まだまだ、それは気が早いよ」
「かなくんの子ども産みますっ。産ませてください。いっぱい産みますー……!!」
「おお。それだったら跡取りに困りそうにないね。孫ができて家族が増えたら。親父もみんなも、きっと喜ぶ」
どこか少し。ほんの少しだけ、笑顔に混じらせた彼の寂しさを、いつか全部拭ってあげられたら……いいな。
今は、こんなにも幸せでいっぱいなあたしの気持ちを、少しでも彼に届けてあげよう。
「あのね、かなくん」
「ん?」
「その。……い、いつでもどうぞ!」
「…………」
「あ、あおいちゃんにはさすがに劣るだろうけど、それでも、かなくんが満足できるよう、精一杯努めさせて……」
「やだ」
「ええ!?」
「俺、好物は最後まで取っておくタチなんだ」



