いつも、笑顔を浮かべていて。わんこみたいに、ちょっと可愛くて。でも、やっぱりかっこよくて。
そんな彼が、真っ直ぐ……ただ真っ直ぐ、あたしのことを見つめていた。それだけで、心臓がおかしくなった。
「ユズちゃん」
「は、はい」
「さっきも言ったけど、今の俺があげられるのはただの約束だけ。真っ直ぐな言葉だけだ。それでもこの先の未来、ユズちゃん以外なんて俺、考えられない」
「……なんで、そんないきなり」
「いきなりでもないよ。結構前から思ってたんだと思う。俺自身が気付いてなかっただけで」
「……なん、で」
「ユズちゃんが、飽きずに俺のこと、追いかけてくれたから」
「……かな、く……」
「泣かせてしまった分、これからは笑わせてあげたい。俺の未来をあげる。だから、ユズちゃんの未来を俺に下さい」
「……ほん、とに……?」
「本当だよ。大真面目。もちろん、すぐに返事が欲しいってわけじゃない。大事なことだし。猶予の間に、考えてくれれば俺はそれで……」
「かなくんっ……!!」
「うわあっ!!??」
突撃した勢いで、かなくん共々床に転げ落ちた。
「いったー……。ユズちゃん、ひとまず怪我は……?」
「お鼻が、ちょっと潰れたくらいで問題ありましぇん」
「それはよかった。ていうか、もう危ないことしないでね。さすがの俺も怒る」
ぎゅっと、しがみつくようにシャツを掴むと、彼は言いかけた言葉をやめて、あたしの体を抱きしめてくれた。
「……あたしね、ちっちゃい子好きなんだ」
「そうなんだ」
「両親共働きで小さい頃は保育園によく預けられてて。あたしより小さい子がさ、ゆずちゃんゆずおねえちゃんって、追いかけてくるのがたまらなく可愛くて」
「うん。それは確かに可愛い」
「だからね、昔からあまり我が儘とか、言ったことなかったんだと思う。だから……あのときは二人ともびっくりしてて」
「……うん」
「でも、何かが欲しいと思ったの、初めてだったの」
「……ユズちゃん?」
「絶対、ぜったい。誰にも渡したくないって、……そう思ったの」
「……うん」
強まる腕の中身動ぎすると、彼は少しだけ泣きそうな顔で笑っていた。
「……かなくん。あたしね、保育士になる夢叶えたい」
「うん」
「でもね、それってあたしが頑張ればいいだけの話だった。もっと大事な夢を、あたし諦めようとしてた。でもそれは一人じゃできないの。かなくんがいないと、……かなくんじゃないと、絶対叶わないの」
「……うん」
「……ねえ。かなくん」
「ん……?」
「好き」
「……」
「好きだよ。大好きだよ」
あたしの未来にも、かなくんがいるって。信じていいの……?



