すべての花へそして君へ②


 いつも、笑顔を浮かべていて。わんこみたいに、ちょっと可愛くて。でも、やっぱりかっこよくて。
 そんな彼が、真っ直ぐ……ただ真っ直ぐ、あたしのことを見つめていた。それだけで、心臓がおかしくなった。


「ユズちゃん」

「は、はい」

「さっきも言ったけど、今の俺があげられるのはただの約束だけ。真っ直ぐな言葉だけだ。それでもこの先の未来、ユズちゃん以外なんて俺、考えられない」

「……なんで、そんないきなり」

「いきなりでもないよ。結構前から思ってたんだと思う。俺自身が気付いてなかっただけで」

「……なん、で」

「ユズちゃんが、飽きずに俺のこと、追いかけてくれたから」

「……かな、く……」

「泣かせてしまった分、これからは笑わせてあげたい。俺の未来をあげる。だから、ユズちゃんの未来を俺に下さい」

「……ほん、とに……?」

「本当だよ。大真面目。もちろん、すぐに返事が欲しいってわけじゃない。大事なことだし。猶予の間に、考えてくれれば俺はそれで……」

「かなくんっ……!!」

「うわあっ!!??」


 突撃した勢いで、かなくん共々床に転げ落ちた。


「いったー……。ユズちゃん、ひとまず怪我は……?」

「お鼻が、ちょっと潰れたくらいで問題ありましぇん」

「それはよかった。ていうか、もう危ないことしないでね。さすがの俺も怒る」


 ぎゅっと、しがみつくようにシャツを掴むと、彼は言いかけた言葉をやめて、あたしの体を抱きしめてくれた。


「……あたしね、ちっちゃい子好きなんだ」

「そうなんだ」

「両親共働きで小さい頃は保育園によく預けられてて。あたしより小さい子がさ、ゆずちゃんゆずおねえちゃんって、追いかけてくるのがたまらなく可愛くて」

「うん。それは確かに可愛い」

「だからね、昔からあまり我が儘とか、言ったことなかったんだと思う。だから……あのときは二人ともびっくりしてて」

「……うん」

「でも、何かが欲しいと思ったの、初めてだったの」

「……ユズちゃん?」

「絶対、ぜったい。誰にも渡したくないって、……そう思ったの」

「……うん」


 強まる腕の中身動ぎすると、彼は少しだけ泣きそうな顔で笑っていた。


「……かなくん。あたしね、保育士になる夢叶えたい」

「うん」

「でもね、それってあたしが頑張ればいいだけの話だった。もっと大事な夢を、あたし諦めようとしてた。でもそれは一人じゃできないの。かなくんがいないと、……かなくんじゃないと、絶対叶わないの」

「……うん」

「……ねえ。かなくん」

「ん……?」

「好き」

「……」

「好きだよ。大好きだよ」


 あたしの未来にも、かなくんがいるって。信じていいの……?