すべての花へそして君へ②


「……じゅ」

「じゅうぶんの……いち」

「いや、さすがにそれはないでしょ。手は抜いてると言っても俺、八割は出してるよ」

「あ、そうなんだ。……え。シント、忙しすぎて弱くなった? 大丈夫?」

「はあ? (ピキッ)」

「はじめからこれくらい……だったのかな。買い被りすぎた? わたしが無理できなかったからそう思ってただけなのかな」

「ちょ、……あおいさん。しんとさんも落ち着いて」

「アイくんも。もしかして平和惚けしてる?? やっぱりあの頃よりも気迫ないし……なんかひょろい」

「……なんて言いました、今(ピキピキ)」

「ツバサくんも――」

「その辺でやめとけ。何が目的で焚き付けようとしてんのか知らねえけど、さすがに何言われても、俺らはお前に本気なんて出せねえんだよ」

「わたしの王子像ね、実はツバサくんもモデルなんだけど……」

「……は? え。ちょ、待て」

「あは! なんかあれだね。王子になってはみたけど服に着られてる感じ? もうちょっとかっこよくなるかと思ったけど、ツバサくんよりもわたしの方がだいぶかっこいい気が――」

「それはちょっと聞き捨てならねえ!!(ブチッ)」


 剣を交えながら十二分に焚き付けたところで。
 きっとなんだかんだで本気は出せないのだろうけど、先程よりは十分に気迫に満ちた三人が、一気に飛びかかってきた。


(三人には申し訳ないけど――――!!)


 トンッとひとつ、地面を切っ先で突き。低く構え、鞘から刀を抜くような姿勢で、わたしは彼らを迎えた。


『人の恋路を邪魔する暇があるのなら、さっさと自分の姫様を捜しに行くことだなあッ!!』


「はあああ!!」と横一文字に剣を走らせ、一気に三人を薙ぎ払った。


「……ふう」


 倒れている彼らを一瞥し、しんと静まり返る中ゆっくりと視線を上げたそこには、律儀にマントを握り締め地面にへたり込んでいる愛しい人の姿。
 溢れ出す愛しさに笑みをこぼしながら、脇目も振らず倒れている彼らの脇を通り、そっと跪いた。


『只今戻りました、姫――――』

「……っ! 危ない!!」