ダンッッと強く地面を蹴り、真っ先に向かったのはシンデレラの王子様。
正直このメンツが本気でかかってきたら、彼女を守ることはできそうにないので、剣を交えながらステージ袖に控えていたキク先生に向かって突き落とした。
「うわっ! っと」
「大丈夫か。……つうかお前、いろいろ挑発しすぎ。いや、なかなかいいキャラしてたけど」
「あっちゃん!!」
「聞いちゃいねえ……」
背中からかけられた声には振り向かなかった。目の前から、殺気染みたやる気が三人分、こちら側に向けられていたから。
「怪我だけはしちゃダメだからね」
「……お。てことは、少々怪我させちゃうのはOK? シンデレラの王子様」
「そう言って、あっちゃんは絶対そんなことしないでしょ?」
「さあどうかな」
どうやら、彼女と話していられるのもここまでのようだ。彼らの準備が、完全に整ってしまったらしい。
『あと三人、か。申し訳ないが、僕はこの後姫様を愛でるので忙しい。キスと所有印だけでお預けを食らっているからな』
その言葉に、三人の表情がぴくりと動いた。
「手加減無用。三人とも、今出せる本気の全力をぶつけに来い。……この『僕』が、本気で受けて立ってみせよう」
同時に動き出した彼らに、真っ正面から受けて立った。
カンッカンッ――――
――――キーンッ。
そんな剣の攻防は、音のように決して軽々しいものではなかった。
体重の乗った、しかも男性の力も合わせた一撃一撃がすごく重くて、三人同時となると防ぐので精一杯。
「――ふふっ」
きっと、ツバサくんのお父様でも。リミットのあったわたしでも、無理だったかもしれない。
「……おい、葵?」
どうかしたのか。
そんな風に聞こえた音は、もう一度笑ってしまった自分の声で掻き消された。
「いやーごめん。やっぱりみんな、女のわたしには全力なんか出してくれないんだなと思って」
「いや、結構頑張ってますよ? 俺ら」
「まあ、俺は若干手抜いてるとこあるけどね。葵に怪我なんかさせらんないし」
「まあ、俺もそれはありますけど」
「あ、やっぱり? そうだよね。だって――」
――今のわたし、十分の一の力も出してないもの。



